#218 Gyalidea izuensis H.Harada

 

半淡水生の痂状地衣.淡水生の痂状地衣の中では,子器はビアトラ型の裸子器で,全体が半透明の淡褐色で,縁部は顕著に突出し,子器盤が明らかに窪み,お椀状になることで区別できる.

 

【外部形態】地衣体は痂状,岩上生,基物表面に連続して広がり,薄く,褐色がかり半透明,光沢があり,裂芽・粉芽・ゴニオシスタンジアを欠き,明瞭なプロタルスを欠く.裸子器はビアトラ型で,無柄から圧着,直径0.25~0.4mm.果殻縁部は子器盤より顕著に突出し,永存,厚さ0.04~0.1mm,概ね全縁,平滑,半透明でごく淡い褐色,光沢はなく,ふつうはごく薄い地衣体で覆われ,ささくれ立つ.子器盤は明らかに窪み,ごく淡い褐色,半透明,光沢があり,粉霜を欠く.粉子器は未見.

【内部形態】果殻はほぼ皿状(中央も連続する),ほぼ無色だが,ごく縁部では褐色がかり,側部では厚さ約25μm,基部では厚さ10~15μmで薄い地衣体で覆われる;菌糸壁は互いに合着して連続した基質を形成;菌糸内腔は直径1μmに満たず,果殻頂部に向かって並行に配列する.ヒポテシウムは不明.子嚢下層は中央で厚さ10~15μm.子嚢層は厚さ105~125μm,無色.側糸は概ね単一(内腔は直径1μm以下),先端部でやや拡張する(内腔は2~2.5μm),薄壁.子嚢は棍棒状で, 95~105 × 15~25 μm,多少とも顕著な頂部の肥厚があり,オキュラーチャンバーは狭く浅い.子嚢胞子は1子嚢中に8個生じ,楕円形,21~32 × 11~21 μm,石垣状多室,横隔壁は6~8,薄壁.

菌糸内腔はI+橙色がかり,KI-,子嚢はI+濃橙色,KI-.(文献1を一部改変)

【化学成分】-

【分布と生態】静岡県伊豆半島の,暖温帯上部の渓流河畔の,時に水没すると見られる岩上で発見された.

イズコザラゴケ/伊豆小皿苔

Gyalidea izuensis H.Harada

【異名等】

【文献1】Harada H. 2016. Gyalidea izuensis sp. nov. (lichenized Ascomycota, Solorinellaceae), a semi-aquatic freshwater species from Shizuoka-ken, central Japan. Lichenology 15(2): 85-90.

執筆:原田浩,2021