#219 Gyalidea japonica H.Harada & Vězda | |||||
庭や畑の周りの小石上で見つかってことから,多少ともパイオニア的な性質がある痂状地衣と考えられる.裸子器がとても小さく,外見的にはレキデア型だが,切片を観察すると果殻の大部分が透明であることから,ビアトラ型的でもある. こういった形状の痂状地衣の同定には,子器の縦断切片の観察(GAW標品)と,子嚢層(子嚢)のヨード反応の観察が必須である.
|
|||||
【外部形態】 地衣体は痂状,直径1㎝ほどで目立たず,薄く,淡灰色,光沢はない.目立つプロタルスを欠く.裸子器は直径0.1~0.3mm,高さ0.15mmまで,無柄で基部はくびれる.子器盤は顕著に窪み,暗褐色.子器縁部は子器盤と同色,基部に向かい淡色となる.(文献1を改変) 【内部形態】共生藻は単細胞性の緑藻.子器はレキデア型(あるいはビアトラ型).果殻の上部外側では褐色,内部はほぼ無色,上部で厚さ約30µm,菌糸壁同志が癒合し基質化し,これに繊維状の菌糸細胞内腔が概ね噴水状に配列する.ヒポテシウム,子嚢下層とも無色.子嚢層は最上部で多少とも褐色,残りは無色.側糸は概ね単一,先端は棍棒状に膨れる(径2µm).子嚢胞子は1子嚢中に4~8個生じ,15~20×7~9µm,楕円体で,亜石垣状多室,無色,薄壁.子嚢層(子嚢を含む)は非アミロイド(I−).(文献1を改変) |
|||||
【生態】比較的明るい場所の岩上に生育.庭や茶畑の周りの小石上で見つかった.(文献1) 【分布】静岡県. |
|||||
コザラゴケ/小皿苔 Gyalidea japonica H.Harada & Vězda |
|||||
【異名等】 |
|||||
【文献1】Harada H. & Vězda A. 1991/ Two new gyalectoid lichens from East Asia./ Nat. Hist. Res.
|
|||||
執筆:原田浩,2023 | |||||
|