#233 Hydropunctaria rheitrophila (Zsch.) C.Keller et al.

 

淡水生被果地衣類の中では,地衣体が暗緑色から緑褐色で,全体に黒点が分布することにより特徴づけられる.

 

【外部形態】 地衣体は連続し,通常は割れず,緑灰色,灰緑色,緑褐色から褐色,しばしば密に(ときにほとんど欠く)黒点(直径0.02 mm)をつける.被子器は埋もれるが,地衣体が薄いと突出し基部が広がり,ふつう頂部は黒い.

【内部形態】 地衣体は厚さ10~95 μm,明瞭な皮層はなく,明瞭な暗色の基層はなく,最上部では しばしば褐色となり,極めて暗い褐色から黒色の顆粒(直径20~40 μm,あるいは垂直の柱状となる)を散布し,これがしばしば外殻と連続する.外殻は側方に広がり,しばしば黒い顆粒とつながり癒合し一体化し(境界不明となる),果殻基部までの中ほどまで達する.上部ではとても暗い褐色からほぼ黒色で菌糸壁は肥厚し,下方では淡色となる.周糸は中央部で長 さ5~15 μm,分枝する場合としない場合があ り,先細りとなり先端がとがる.子嚢胞子は8~12 × 5~8 μm,ハロを欠く.(文献2を一部改変)

【化学成分】-

【分布と生態】河川上流の,森林内の河畔岩上に出現する.森林内の細流に水没する岩上では,最も普通に見られる淡水生地衣類の一つである.少なくとも暖温帯から冷温帯(山地帯)にかけて普通に産する.

 

ゴマダラサワイボゴケ/胡麻斑沢疣苔

Hydropunctaria rheitrophila (Zsch.) C.Keller et al.

【異名等】Verrucaria rheitrophila Zsch.;(文献1,2)

【文献1】Harada H. 1996a. Taxonomic notes on the lichen family Verrucariaceae in Japan (IX). Verrucaria rheitrophila Zsch., new to Japan. J. Jpn. Bot. 71: 317-322.

【文献2】Harada H. 2012. Taxonomic study on the freshwater species of Verrucariaceae of Japan (2). Genus Verrucaria. Lichenology 10(2): 97-135.

執筆:原田浩,2021