#246 Lecanora leprosa (Eschw.) Vain.

 

チャシブゴケ属Lecanoraの中で本種は以下の形質により特徴づけられる: 樹皮着生,地衣体は連続し多少とも区画化し,灰白色から灰緑色,子器は顕著に突出せず,子器盤はごく初期には多少とも窪み,後に概ね平坦で黄褐色,果托にシュウ酸カルシウムの大きな結晶を含む.

 

【外部形態】地衣体は痂状,連続し,概ね平滑,平坦,多少とも区画化し,灰白色から灰緑色.地衣体周辺のプロタルスは目立たない.

子器はレカノラ型,基部は地衣体に広く埋もれ,はじめほとんど突出しないが,のちに子器拡大とともに基部はわずかにくびれるようになる.子器盤は黄褐色,初期はわずかに窪み,のちにほぼ平坦,粉霜を欠く.縁部は子器盤よりわずかに突出し,薄く,地衣体と同色.

【内部形態】果托に顕著なシュウ酸カルシウム結晶を含む.子嚢胞子は1子嚢中に8個生じ,10-13 × 5-8 µm(文献1)

【化学成分】アトラノリン,ガンガレオイディン(文献1)

【生態】樹皮着生

【分布】千葉県以西の暖温帯から亜熱帯(文献1ほか)

コチャシブゴケ/小茶渋苔(文献2)

Lecanora leprosa (Eschw.) Vain.

【異名等】Lecanora cinereocarnea (Eschw.) Vain., Acta Soc. Faura Flora Fenn. 7(7): 80 (1890); Miyawaki, J. Hattori Bot. Lab. (64): 292-293 (1988).

【文献1】 Miyawaki H. 1988./ Studies on the Lecanora subfusca group in Japan./ J. Hattori Bot. Lab. (64): 271-326.

【文献2】宮脇博巳・原田浩.2016./ 日本産チャシブゴケ属(Lecanora)の新和名./ Lichenology 15: 123-125.

執筆,原田浩,2024