#282 Myelochroa metarevoluta (Asah.) Elix & Hale

小形の葉状地衣.裂片は類線形からやや丸く,不規則に分枝し,基物に圧着する.背面は灰白色から灰緑色,平滑,裂片先端近くの背面に類円形の粉芽塊を生じ,これが大きくなると膨れ,裂片はその部分が広くなる.裂片間の脇にごく短いシリアを生じる.腹面は概ね暗褐色からほぼ黒色で,ほとんど全体にわたり概ね単一の短めの偽根を生じる.髄層は淡黄色.髄層には(生物顕微鏡下),チョロギ細胞と呼ばれる数珠状の菌糸がある.髄層にガルビン酸を含む,P+橙色.

 髄層にチョロギ細胞があり,ガルビン酸を含むことで,チョロギウメノキゴケ(M. galbina),ハヤチネウメノキゴケ(M. hayachinensis)に似る.ハヤチネウメノキゴケはパスチュールを生じ,チョロギウメノキゴケは粉芽・パスチュールを欠くことで異なる.

 裂片の形状,粉芽塊の付き方では,タカハシゴンゲンゴケ(Hypotrachyna pseudosinuosa)に似る.しかしタカハシゴンゲンゴケは,チョロギ細胞を欠くことから異なることはもちろん,裂片は灰白色で白っぽいのに対し,本種は日当たりの良い場所では灰褐色を帯びる傾向が著しい.

 

【外部形態】(準備中)

【化学成分】アトラノリン,ゼオリン,ガルビン酸(文献1)

【分布と生態】北海道~九州(文献1).丘陵帯(暖温帯)・山地帯の樹幹上・岩上に生育する.

 

ハヤチネウメノキゴケ/早池峰梅木苔

Myelochroa metarevoluta (Asah.) Elix & Hale

【異名等】Parmelia metarevoluta Asah.(文献1)

【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市.

執筆:原田浩,2021