#317 Porina exasperatula Vain.

樹皮着生マルゴケ属の中で,明らかな果托を生じる種の中では,子器が小さくほとんど球形で,表面が小さないぼ状突起に覆われることで特徴づけられる.子嚢胞子も特徴的で,ごく細く,しかも長い.

 

【外部形態】地衣体は痂状,比較的薄く,概ね灰褐色で連続し,比較的小さないぼ状突起で覆われる.被子器は半球形からほぼ球形で基部がくびれ,直径0.3 – 0.45 (– 0.5) mm,明瞭な果托で覆われ(地衣体と同色,同質),果托は比較的小さないぼ状突起で覆われる.

【内部形態】地衣体は厚さ10 – 70 μm,いぼ状突起にはシュウ酸カルシウム結晶が含まれる.果托のシュウ酸カルシウム結晶は丸く,これが表面のいぼ状突起に対応している.外殻は目立たない.子嚢層はほぼ球形.側糸は単一.子嚢は円筒形で100 – 140 × 7 – 10 μm,先端部に子嚢壁の顕著な肥厚はない.子嚢胞子は糸状,75 – 91 × 2 – 2.5 (– 3.5) μm,平行多室,隔壁は7 – 27,無色,細胞壁はごく薄く,約 0.3 μm,顕著な外膜を欠く.(文献1を改変)

【化学成分】-

【分布と生態】千葉県以西の照葉樹林内で確認された;樹皮着生.(文献1)

シャカトウマルゴケ/釈迦頭丸苔

Porina exasperatula Vain.

【異名等】

【文献1】Harada H. 2016/ Saxicolous and corticolous species of Porina (lichenized Ascomycota, Porinaceae) of Japan (part 2)./ Lichenology 14(2): 91-118.

執筆:原田浩,2023