#322 Porina internigrans (Nyl.) Müll.Arg.

樹皮着生ならびに岩上生マルゴケ属の,明らかな果托を生じる種の中では,子嚢胞子が巨大な紡錘形で平行多室(通常は8室を超える)であることで特徴づけられる.

 

【外部形態】地衣体は痂状,連続し,平滑で,緑褐色から灰褐色(保存後は褐色),光沢があり,ときに剥がれ落ちやすくなる.被子器はドーム状に突出し,ときに半球形,直径0.7–1.0(–1.5) mm,基部はくびれず,広がる傾向があり,明瞭な果托があり(地衣体と同色),丸みを帯びた頂部は,しばしば暗褐色からほぼ黒色となる.

【内部形態】地衣体は厚さ20 – 40 μm,皮層は厚さ約40 μm,髄層にシュウ酸カルシウム結晶を含む.外殻は上部では果殻と癒合しているが,下方では多少とも果殻から側方に離れる.果托髄層と果殻の間にはシュウ酸カルシウム結晶の顕著な層を生じる.子嚢層はほぼ球形から多少とも上下に押しつぶされた形をしており,高さ260 – 310 ×幅 310 – 460 μm.側糸は単一.子嚢胞子は67 – 102 × 10 – 13 μm,平行多室[隔壁は(7–)10 – 14],無色,細胞壁は薄く,顕著な外膜[厚さ2–5 (–8) μm]がある.(文献2を改変)

【化学成分】-

【分布と生態】千葉県以西の照葉樹林等の森林内で見つかっている;樹皮着生,ときに岩上生.(文献1)

オオマルゴケ/大丸苔

Porina internigrans (Nyl.) Müll.Arg.

【異名等】

【文献1】Harada H. 2016/ Saxicolous and corticolous species of Porina (lichenized Ascomycota, Porinaceae) of Japan (part 2)./ Lichenology 14(2): 91-118.

【文献2】Harada H. & Sato H. 2008/ Contributions to the lichen flora of Yambaru area, Okinawa, Ryukyu Is., south-western Japan (1). Genus Porina./ Lichenology 7(2): 131-142.

執筆:原田浩,2023