#340 Ramalina litoralis Asah.

海岸の岩上に生育する,数少ない樹状地衣の一つ.海岸生のカラタチゴケ属として他にハマカラタチゴケ(R. siliquosa)とエゾハマカラタチゴケ(R. subbreviuscula)が知られる.これら2種は,分枝が明らかに扁平で,ほとんど分枝し内のに対し,本種では,分枝がほとんど円柱状で盛んに分枝を繰り返す.

 

【外部形態】地衣体は樹状.海岸生カラタチゴケ属の中では,分枝が細く,顕著に扁平となることはなく,繰り返し分枝するいことで特徴づけられる.鮮時は生態写真のように淡黄緑色だが,標本として保存すると,徐々に黄褐色に変色していく.

子器はレカノラ型.子器盤は黄褐色.

【化学成分】 ヂバリカート酸,あるいセッカ酸とラマリノール酸(文献1)

【分布と生態】本州では太平洋岸の千葉県以西から九州まで,伊豆諸島,小笠原諸島に分布する.海岸の岩上に多いが,千葉県南西部の東京湾口に面した鋸山付近では,標高200mを超える地点でも見られる.灰色帯からやや桃褐色帯よりに分布する.

イソカラタチゴケ/磯枳殻苔

Ramalina litoralis Asah.

【異名等】Ramalina sublitoralis Asah.(イソカラタチゴケモドキ)(文献1)

【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市.

【文献2】原田浩・坂田歩美・吉川裕子.2020./ 日本産海岸生地衣類図鑑(1).大型地衣類./ Lichenology 18(2): 59-78.

執筆:原田浩,2022