#342 Ramalina siliquosa (Huds.) A.L.Sm.

海岸の岩上に生育する,数少ない樹状地衣の一つ.海岸生のカラタチゴケ属として他にイソカラタチゴケ(R. litoralis)とエゾハマカラタチゴケ(R. subbreviuscula)が知られる.エゾハマカラタチゴケは本種によく似るが,ヂバリカート酸を含み北海道と青森県に分布するのに対し,本種は地衣体がやや大きく,サラチン酸かプロトセトラール酸を含み,本州から九州に分布する.イソカラタチゴケは,分枝がほとんど円柱状で盛んに分枝を繰り返すが,本種では明らかに扁平でほとんど分枝しない.

 

【外部形態】(準備中)

【化学成分】 サラチン酸,あるいはプロトセトラール酸(文献1)

【分布と生態】東北以南の海岸岩上に出現する.灰色帯・橙色帯と桃褐色帯の中間的な場所,つまり灰色帯・橙色帯よりもやや日陰よりを好むようである.

ハマカラタチゴケ/浜枳殻苔

Ramalina siliquosa (Huds.) A.L.Sm.

【異名等】Ramalina crassa (Delise) Mont.(ハマカラタチゴケ),Ramalina siliquosa (Huds.) A.L.Sm.(ハマカラタチゴケモドキ(文献1)

【文献1】吉村庸.1974.原色日本地衣植物図鑑.349 pp., 48 pls.保育社,大阪市.

【文献2】原田浩・坂田歩美・吉川裕子.2020./ 日本産海岸生地衣類図鑑(1).大型地衣類./ Lichenology 18(2): 59-78.

執筆:原田浩,2023