#364 Thelidium izuense H.Harada | |||||
淡水生の被果地衣類.サワマルミゴケ(Thelidium rehmii)によく似るが,被子器壁(外部形態と内部形態)がほぼ黒色であること,子嚢胞子が並行4室であることで区別できる.平滑な地衣体とほぼ黒色の被子器によって,本種はホシクチマルミゴケ(Thelidium radiatum)に似る.しかし後者は子嚢胞子が2室であること,被子器の孔口のまわりが放射状に割れることで区別できる.
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【外部形態】地衣体は痂状,岩上生,基物上に連続して広がるか,微小な円盤からなり,薄く,灰白色.被子器は 裸出し,ほぼ球形,直径はたいてい 0.15~0.3 mm,通常は基部でくびれ,ほぼ黒色,灰色の薄い地衣体の覆いがあり,光沢がなく,頂部は丸く,孔口部は白っぽい.粉子器は未見. 【内部形態】地衣体は異型菌糸組織で,厚さ概ね 10~20 μm,厚さ約 3 μm の皮層があり,無色,菌糸内腔は長さ 3~5 μm,幅 2~3 μm,菌糸間に顕著な空隙は無く,薄壁(厚さ約 0.5 μm);共生藻細胞はほぼ等直径かわずかに伸長し,長さは概ね 5~10 μm,小塊を成す.外殻は果殻に圧着し,ほぼ果殻基部あるいは基物に達し,非常に暗い褐色で,厚さ 15 – 20 μm.果殻はほぼ無色で,側部と基部で厚さ 5~10 μm.子嚢下層は上方が凹み,中央で厚さ 10~15 μm.周糸はほぼ単一かわずかに分枝し,長さ 10~15 μm,先端が丸く,顕著なゼラチン状の基質を欠く.子嚢層は高さ 130~140
μm,幅約 140 μm.子嚢は棍棒状で約 60 × 20
μm,子嚢内壁は顕著で,オキュラーチャンバー は広く浅い.子嚢胞子は1子嚢中に8個,21~23 × |
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【化学成分】- 【分布と生態】静岡県のみから知られる.暖温帯上部,河川上流の細流の水辺岩上で見つかった. |
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イズマルミゴケ/伊豆丸実苔 Thelidium izuense H.Harada |
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【異名等】― |
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【文献1】Harada H. 2013. The lichen genus Thelidium (Verrucariaceae) in Japan. Lichenology 11(2): 53-66. |
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執筆:原田浩,2021.改2023. | |||||
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