#381 Verrucaria fuscella (Turner) Winch

 

海岸の飛沫帯付近のやや窪んだ箇所や,やや日陰よりに出現する.その付近に産するアナイボゴケ科の中では,地衣体が厚く明らかに区画化することで特徴づけられる.

 

【外部形態】地衣体は痂状.基物上に広がり,ふつうとても厚く,顕著に縁部まで割れ,区画化し,湿ってもゼラチン化しない.表面は灰褐色から褐色,暗褐色,しばしば粉霜様の白っぽい覆いがあり,黒斑はないが,時に暗色の線が入り,平坦,縁部は時に明瞭でほぼ黒色,わずかに隆起することがあり,側面はほぼ黒色.

子器は被子器.地衣体区画に完全に埋もれ,頂部が暗褐色から黒色の,概ね円形となって現れ,そこはわずかに窪んだり,わずかに突出し,中央の孔口付近は周りよりわずかに淡いことが多い.

【内部形態】子嚢層内菌糸系は孔口付近にのみ周糸が生じ,子嚢間にはない.子嚢胞子は1子嚢中に8個生じ,(10 ‒) 13 ‒ 15 × 5 ‒ 7.5 µm,単室,薄壁.

【化学成分】未知

【生態】橙色帯付近の,日陰よりや,やや窪みに分布.

【分布】関東(千葉),中部日本海側(石川),中国(鳥取),九州(福岡・長崎・鹿児島).

キッコウアナイボゴケ/亀甲孔疣苔

Verrucaria fuscella (Turner) Winch

【異名等】―

【文献】 原田浩.2020./ 日本産海岸生地衣類図鑑(2).アナイボゴケ科./ Lichenology 18(2): 79-97.

執筆:原田浩,2022