#383 Verrucaria igii H.Harada

 

日本産淡水生アナイボゴケ属の中で本種は以下の形質により特徴付けられる.地衣体はほぼ連続し,明らかに区画化せず,褐色で,被子器は地衣体に半ば埋没し(あるいは地衣体のいぼに埋もれ),外殻は顕著で側方に広がり,周糸は先端がとがり,子嚢胞子は小さめ(9~14 × 5~6μm).(文献1を一部改変)

 

【外部形態】地衣体はほぼ連続し,比較的目立たない割目があり(半ば区画化する),湿時に半ばゼラチン化し,多少とも褐色で,黒点を欠く.被子器は地衣体に半ば埋もれるとともに多少とも突出し,頂部はほぼ黒く,孔口付近はくぼむ.粉子器は地衣体に埋もれる.

【内部形態】地衣体は厚さ40~120 μm,明瞭な皮層を欠き,時に目立たない暗色の基層があり,異型菌糸組織で,菌糸間の空隙はほぼ無い.外殻は顕著で側方に広がり,暗褐色からほぼ黒色で, 側方と下部では厚さ10~15 μm.周糸は中央部で長さ約15 μm,ほぼ分枝せず,先細りして先端がとがる.子嚢胞子は9~14 × 5~6μm.粉子器は単室で,Staurothele型(Harada 1993),粉子は約 4 × 1 μm.(文献1を一部改変)

【化学成分】-

【分布と生態】岡山県の渓谷の,河畔岩上で確認された.

イギサワイボゴケ/井木沢疣苔

Verrucaria igii H.Harada

【異名等】

【文献1】Harada H. 2012 Taxonomic Study on the Freshwater Species of Verrucariaceae of Japan (2). Genus Verrucaria. Lichenology 10(2): 97-135.

執筆:原田浩,2021