#385 Verrucaria izuensis H.Harada

 

半淡水生の痂状地衣.淡水生アナイボゴケ属の中で,本種は,地衣体が微小な鱗片からできて いることから区別できる.さらに,以下の特徴がある.被子器は半球形からほぼ球形で,裸出し(地衣体の覆いを欠く)黒く,子嚢胞子は23~24 × 10~11 μm.(文献1を改変)

 

【外部形態】 地衣体は微小な鱗片からなる.微小な鱗片は繰り返し分枝し,裂片は幅0.02~0.03 mmで,互いに接するか離れるが瓦状に重なり,緑褐色.被子器は半球形からほぼ球形で,基部のみ地衣体に埋もれるか,時に地衣体に半分埋もれ,直径0.15~0.25 mm,地衣体の覆いを欠き,黒く多少とも光沢があり,頂部の孔口周辺は淡褐色で乳頭状に突出する.

【内部形態】鱗片は異型菌糸組織からなり,明瞭な皮層を欠く.外殻は果殻に圧着し,果殻基部の高さまで達し,そこでわずかに拡がり,多少とも異型菌糸組織で(時に繊維菌糸組織),外側の厚さ10~15 μmは極めて暗い褐色からほぼ黒色で,中央部では厚さ約25 μm.周糸は中央部では長さ15~20 μm,ほぼ分枝せず,多少とも丸い先端に向かい多少とも細くなる.子嚢胞子は23~24 × 10~11 μm, ハロを欠く.(文献1を一部改変)

【化学成分】-

【分布と生態】伊豆半島(静岡県)において,暖温帯の森林内を流れる小さな渓流の河畔岩上で見つかった.

イズサワイボゴケ/伊豆沢疣苔

Verrucaria izuensis H.Harada

【異名等】

【文献1】Harada H. 2012 Taxonomic Study on the Freshwater Species of Verrucariaceae of Japan (2). Genus Verrucaria. Lichenology 10(2): 97-135.

執筆:原田浩,2021