#390 Verrucaria praetermissa (Trevis.) Anzi

 

淡水生の痂状地衣.日本産淡水生アナイボゴケ属の中で以下の形質により特徴付けられる.地衣体は淡灰色(しばしば青味がかる)で半ば区画化し,(断面)暗色の顆粒を欠き,明瞭な暗色の基層があり(外殻に由来し, 異型菌糸組織),被子器は埋もれ,子嚢胞子は19~32 (~35) × 8~12 μmでハロで覆われる.

 

【外部形態】地衣体は湿時にゼラチン化せず,はじめ連続するが,厚くなるにつれ半ば区画化する(地衣体中央部ではほぼ完全に区画化する).割目はジグザグで,表面は光沢は無く,淡い灰色から灰緑色だが生時は青味がかり,日向では時に暗灰色,黒点を欠く.被子器はほぼ完全に地衣体に埋もれ(地衣体が薄いときは地衣体のイボに埋もれる),黒か褐色の被子器頂部(円の中心の孔口付近は半透明)を裸出する.

【内部形態】地衣体は厚さ20~230 μm,暗色の顆粒を欠き.皮層は目立たず.髄層は異型菌糸組織で,菌糸間の空隙は無いか,ごく目立たない.暗色の基層は時に顕著で,極めて濃い褐色からほぼ黒色,異型菌糸組織で,再上層部では細胞壁が肥厚し髄層上層との境界は明瞭.被子器は楕円形.外殻は果殻と癒合し,下方に向かって顕著に側方に広がり,しばしば髄層下部の暗色の基層と連続する.果殻は上部で顕著に肥厚することはない.周糸は長さ 15~25 μm,先端は尖る.子嚢胞子は19~32 (~35) × 8~12 μm,ハロで覆われる.(文献1を一部改変)

【化学成分】-

【分布と生態】暖温帯に広く分布する(おそらくより寒冷な地域にも分布).水辺から森林内まで,岩上に生育.

アオジロアナイボゴケ/青白穴疣苔

Verrucaria praetermissa (Trevis.) Anzi

【異名等】

【文献1】Harada H. 2012 Taxonomic Study on the Freshwater Species of Verrucariaceae of Japan (2). Genus Verrucaria. Lichenology 10(2): 97-135.

執筆:原田浩,2021