#397 Xanthoparmelia botryoides Kurok.

岩上に生育し,裂片が幅の狭い線形で,裂芽を生じる葉状地衣の代表であるキクバゴケ属(Xanthoparmelia)の中で,本種は暖温帯に最もよく出現する種である.本属の中では,腹面の色と化学成分で互いに区別できる.

 

【外部形態】地衣体は葉状.多少とも黄色を帯びた灰緑色.裂片は類線形か,ときにやや丸く,繰り返し不規則に分枝し,重なり合う.背面には粒状から円筒状の裂芽を生じる.これらの形質では,海岸生のキクバゴケ属,Xanthoparmelia saxeti ハマキクバゴケを除く他の種とは全く区別がつかない.化学成分と,腹面がほぼ黒色であることから判別する.

【化学成分】ウスニン酸,フマールプロトセトラール酸,スクシンプロトセトラール酸

【生態】日当たりのよい岩上に生育する.海岸では,灰色帯に出現.

【分布】海岸生として確認されたのは,広島県と長崎県.

フサナリキクバゴケ/房生菊葉苔

Xanthoparmelia botryoides Kurok.

【異名等】

【文献】原田浩・坂田歩美・吉川裕子.2020./ 日本産海岸生地衣類図鑑(1).大型地衣類./ Lichenology 18(2): 59-78.

執筆:原田浩,2022