#418 Umbilicaria esculenta (Miyoshi) Mink | |||||
イワタケ科の地衣類のほとんどが亜高山帯以上の高所・寒冷地に生育するのに対し,本種とUmbilicaria kisovana ヒメイワタケのみが冷温帯(山地帯)によく出現する種である(亜高山帯にも分布する).ヒメイワタケは本種よりも地衣体がはるかに小さいため,容易に区別できる.
本種は食用にされる数少ない地衣類の一つとしてよく知られる.日本で伝統的に食用にされていることは,世界の地衣学者の間では有名な話となっている.
地衣体は葉状で,地衣類としては厚く,はじめ円形だが,生長とともに縁部が不規則に切れ込んでくることがあり,通常は直径5~10cm程度だが,ときに30cmに達することもあるという.背面は概ね褐色で平滑,光沢はなく.腹面は黒色で,中央にある臍状体(さいじょうたい)で基物の岩に固着し,腹面全体にわたり,分枝を繰り返す偽根のような形ではあるが固着に関与しない,「偽根様体」(ぎこんようたい)が密生する. |
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【化学成分】ジロフォール酸(文献1) 【生態】暖温帯(千葉県)の丘陵地帯の森林地帯において,稜線近くの木陰の岩上で発見された.(文献2) 【分布】北海道~九州(文献1).沖縄県と千葉県のみ分布しない. |
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イワタケ/岩茸 Umbilicaria esculenta (Miyoshi) Mink |
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【異名等】Gyrophora esculenta Miyoshi |
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【文献1】吉村庸.1974./ 原色日本地衣植物図鑑./ 349 pp., 48 pls./ 保育社,大阪市. |
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執筆,原田,2024.5. | |||||
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