#426 Graphis tenella Ach.

 

モジゴケ属の中では,本種は以下の形質で特徴づけられる: 子器はわずかに突出し,湾曲し,しばしば分枝し,しばしば長さ2mmを超える;(横断切片)ラビアは基部まで黒化し,対となるラビア間は離れる;子嚢層に油滴を欠く;地衣体はノルスチクチン酸を欠き,K−.

 

【外部形態】 地衣体は灰白色,連続し,平滑,光沢はない.子器(リレラ)は,地衣体上からわずかに突出し,湾曲し,しばしば分枝し,しばしば長さ2mmを超える.果托はやや顕著.ラビアはほぼ接するか,わずかに離れ,子器盤が見えることがある.子器盤は粉霜を欠くか,ごくわずかに粉霜を生じる.

【内部形態】(子器横切片)子器壁は基部まで黒化し,対となるラビアは明らかに離れる.子嚢層は油滴を欠く.子嚢胞子は平行多室,細胞はレンズ状で6~8室,20-32 × 7 µm(文献1).

 

【生態】林内から林縁の樹皮に着生.

【分布】暖温帯~冷温帯に広く分布する.千葉県においては都市の近郊ではほとんど見られない.北海道~九州(文献1)

 

ホソモジゴケ/細文字苔

Graphis tenella Ach.

【異名等】-

【文献1】Nakanishi M. 1966/ Taxonomical studies on the family Graphidaceae of Japan/ J. Sci. Hiroshima Univ., ser. B, div. 2 (Bot.), 11 (1): 51-126, pls. I-V.

執筆,原田浩,2024