#448 Dermatocarpon miniatum (L.) W.Mann

 

形はイワタケUmbilicaria esculentaに似るが,河畔の定期的に水没する岩上に生育することから,和名がつけられた.後者とは系統的には異なり,裸子器ではなく被子器を作る.石灰岩上にも生育する.

 

【外部形態】地衣体は葉状,はじめは概ね円形で腹面中央の臍状体で基物の岩に固着する.地衣体の縁部ははじめ全縁だが,のちにしばしば不規則に切れ込んだり,ちぎれたりする.また,同一の臍状体から複数の地衣体を生じ複葉化することもある.背面は概ねやや淡い褐色で,灰色を帯びたり,わずかに赤色を帯びることもある.概ね平滑で,粉霜を欠く.腹面は平滑で,黄褐色からやや暗い褐色,時に赤褐色から暗褐色,あるいはごく淡い褐色.大きく成長した個体では,ときに不規則に粗い隆起がある.被子器は普通に生じ,地衣体背面全体にわたって比較的密にまた一様に分布することもあり,地衣体に完全に埋もれ,孔口付近が暗褐色の小さな円として見え,よく発達すると地衣体の腹面側に丸く膨れる.粉子器は普通に生じ,地衣体に完全に埋もれ,被子器よりも小さい褐色の点として見える.

【内部形態】準備中.

【化学成分】-

【分布と生態】北海道から九州.河川の中・上流域の,定期的に水没する岩上,あるいは石灰岩上に生育する.

カワイワタケ/河岩茸

Dermatocarpon miniatum (L.) W.Mann

【異名等】

【文献1】Harada H. 1993. A taxonomic study on Dermatocarpon and its allied genera (Lichenes, Verrucariaceae) in Japan. Nat. Hist. Res. 2(2): 113-152.

執筆:原田浩,2021