#454 Strigula minutula P.M.McCarthy

 

淡水生の被果地衣類の中では,地衣体が暗緑色から緑褐色であること,子器が小さい(直径0.15~0.25mm)こと,子嚢胞子が小さく(9~10×約2.5μm),2室であることで特徴づけられる.

 

【外部形態】地衣体は痂状,岩上生,基物上に広がり連続し,直径 1~2 cm,亀裂を欠き,薄く,緑褐色から暗緑色,わずかに光沢があり,裂芽・粉芽を欠く.プロタルスは目立たず,半ゼラチン状,白っぽい.被子器は密集し,ほぼ半球形,たいていは直径 0.15~0.25 mm,基部は多少とも広がり,表面は平滑,±緑褐色を帯び,基部か頂部付近まで薄い地衣体で覆われ,あるいは地衣体をほとんど欠きほぼ黒色の被子器壁を裸出し,ふつう頂部は丸く,孔口は目立たないか,時にわずかに乳頭状となる.小粉子器は被子器に似て,直径 0.1 mm.

【内部形態】地衣体は厚さ 20~40 μm,顕著な皮層・ヒポタルスを欠き,全体にわたり亜異形菌糸組織あるいは真正異型菌糸組織からなり,菌糸間に空隙を欠く.菌糸の内腔はたいてい幅 2~3 μm,長さ 2~5 μm.共生藻細胞は密に均一に分布し,3~12 × 3~7 μm.外殻は直径 200 μm,上部では果殻と融合し,果殻に接するかわずかに下方で離れ,子器の側方では厚さ 15~25 μm,ほぼ子器の底部にまで達し,褐色がかった黒色,たいていは厚さ 10~15 μmの地衣体に覆われる.菌糸内腔は観察困難.果殻は無色か褐色で,子器側方で厚さ 5~10 μm.子嚢下層は上面が窪むかほぼ平坦,中央で厚さ 25 μm.子嚢層はほぼ球形,高さ 110~120 μm,幅 130~140 μm,顕著な子嚢層内ゼラチンを欠く.周糸は目立たず,長さ約 10 μm.側糸はほぼ単一で,ゼラチン質で覆われない.子嚢は 50~140 × 6~10 μm, 顕著な頂部肥厚を欠く.子嚢胞子は 9~10 × 約 2.5 μm,2室,無色,薄壁(0.3~0.5 μm),顕著な外膜を欠
く.大粉子と小粉子は同一の粉子器内に生じる.大粉子は紡錘形,7~8 × 2~2.5 μm,平行2室.小粉子は紡錘形,約 2.5 × 1 μm,単室.(文献1を一部改変)

【化学成分】-

【分布と生態】千葉,高知,宮崎から記録がある.暖温帯において,河川上流の森林内の水辺で見つかった.

ヒメマンジュウゴケ/姫饅頭苔

Strigula minutula P.M.McCarthy

【異名等】

【文献1】Harada H. 2016. Saxicolous species of the genus Strigula (lichenized Ascomycota, Strigulaceae) in Japan. Lichenology 14(2): 73-89.

執筆:原田浩,2021