#458 Verrucaria denudata Zsch.

 

淡水生のアナイボゴケ属の中で,最も普通に見られる種の一つ.淡水生アナイボゴケ属の中で本種は以下の形質により特徴付けられる.地衣体は連続し区画化せず,黒点を欠き,被子器は概ねドーム状に突出し(薄い地衣体を被る),外殻は側方に広 がり,子嚢胞子の大きさは中くらいで(17~20 × 6~7 μm),ハロを欠く.(文献1を改変)

 

【外部形態】 地衣体は湿時にゼラチン化し,連続し薄く,褐色から灰褐色,ときに緑褐色,日陰では淡緑灰色,黒点を欠く.被子器は明らかに突出し,ドーム型か半球形でわずかに基部が広がり,直径0.25~0.4 mm,薄い地衣体で完全にあるいはほぼ完全に覆われるか,黒い被子器壁を裸出し,頂部は普通は丸い.

【内部形態】地衣体は厚さ20~40 (~80) μm,明瞭な皮層を欠き,暗色の基層と暗色の顆粒を欠き,異型菌糸組織で菌糸間に空隙を欠く.外殻は側方に広がり果殻基部の高さ(あるいは基物)に達し,表面は平滑で,上部は亜異型菌糸組織で菌糸壁は肥厚しきわめて濃い褐色からほぼ黒色.果殻は上部で厚く暗色となる.側糸は長さ15~20 μm,先端は尖る.子嚢胞子は17~20 × 6~7 μm,ハロを欠く.(文献1を一部改変)

【化学成分】-

【分布と生態】秋田・岩手・愛媛・高知.冷温帯から暖温帯の,森林内の河畔(あるいは細流の)岩上.

サワイボゴケ/沢疣苔

Verrucaria denudata Zsch.

【異名等】

【文献1】Harada H. 2012 Taxonomic Study on the Freshwater Species of Verrucariaceae of Japan (2). Genus Verrucaria. Lichenology 10(2): 97-135.

執筆:原田浩,2021