#462 Verrucaria nujiangensis H.Harada & Li S.Wang

 

淡水生の痂状地衣.淡水生アナイボゴケ属の中で本種は以下の形質により特徴付けられる.地衣体は薄く連続し,被子器は裸出し基部で多少ともくびれ,外殻は薄く,果殻に圧着し果殻基部の高さまで達し,子嚢胞子は 中くらいで(20~21 × 9~10 μm),ハロを欠く.(文献1を一部改変)

 中国雲南省,怒江(ヌジャン)流域で見つかったことに因んで V. nujiangensis として新種記載された(文献2).和名もこれにならった.(文献1)

 

【外部形態】 地衣体は薄く,割れず,淡灰褐色か ら褐色がかった灰色で,黒点を欠く.子器は裸出し,半球形からほぼ球形で直径は概ね0.2~0.3 mm, 多少とも基部でくびれ,黒く,基部付近にはごく薄い地衣体をかぶり,孔口は目立たない.

【内部形態】 外殻と果殻は上部では区別は困難, 極めて濃い褐色かほぼ黒色で厚さ20~30 μm.外殻は下部では果殻に圧着し,果殻基部の高さまで達し,側方に広がらず,時に薄い地衣体に覆われ,外側表面は凹凸がある.果殻は側部と下部では概ね無色だが,ときに部分的に褐色となる.周糸は中央部で長さ約15 μm,ほぼ分枝せず,先細りで先端がとがる.子嚢胞子は 20~21 × 9~10 μmでハロを欠く.(文献1を一部改変)

【化学成分】-

【分布と生態】静岡県から記録がある.暖温帯の渓谷の湿岩上で見つかった.

ヌジャンサワイボゴケ/ヌジャン(怒江)沢疣苔

Verrucaria nujiangensis H.Harada & Li S.Wang

【異名等】

【文献1】Harada H. 2012 Taxonomic Study on the Freshwater Species of Verrucariaceae of Japan (2). Genus Verrucaria. Lichenology 10(2): 97-135.

【文献2】Harada H. & Wang L.-S. 2008. Taxonomic study on the freshwater species of Verrucariaceae (lichenized Ascomycota) of Yunnan, China (4). Genus Verrucaria. Lichenology 7: 1-24.

執筆:原田浩,2021