#501 Callome multipartita (Sm.) Otálora et al.

 

石灰岩生の葉状のラン藻地衣.原田(2023)によって日本新産として報告された.石灰岩生のイワノリ科の中では,裂片が狭いなど特異な形態をしているため,容易に区別できる.2023年には,新潟県の1地点(標本2点)から知られるのみである.(文献1)

 

【外部形態等】地衣体は鱗片状,直径1~2cm(海外では10cmに達するとされる),石灰岩に固着し,繰り返し分枝する.裂片は線形で,地衣体中央部では幅0.3~1.5mm程度が多く,周辺部の末端の裂片では0.2~0.5mm程度が多く,全体が基物から僅かに浮き上がり,ときに先端が斜上する.背面は暗褐色から黒褐色,ほとんど光沢はなく,平滑,ほぼ平坦からわずかに突出し,縁部は立ち上がらない.裂芽・パスチュールを欠く.腹面は緑褐色から褐色,概ね平坦かわずかに樋状に窪み,偽根様の構造が点在する.

子器は裂片背面中央部に生じ,はじめ突出し,のちに基部がくびれ,直径0.5~1.0mm,縁部は周りの地衣体と同色.

【内部形態】果托は偽皮層を欠く.果殻は顕著な異形kン氏組織,中央部で厚さ50~60µm.子嚢胞子は26~35×4.5~6µm,平行4室.(文献1を一部改変)

【化学成分】-

【分布と生態】新潟県.石灰岩に直接付着する.(文献1)

 

ゲジゲジイワノリ/蚰蜓岩海苔

Callome multipartita (Sm.) Otálora, P.M.Jørg. & Wedin, Fungal Diversity 64: 282 (2013)[2014].

【異名等】Collema multipartitum Sm. in Smith & Sowerby, Engl. Bot. 36: tab. 2582 (1814); Degelius, Symb. Bot. Upsal. 13(2): 376–384 (1954); Degelius, Symb. Bot. Upsal. 20(2): 114 (1974).

【文献1】原田 浩.2023.石灰岩生地衣類(3).広義イワノリ属(Collema s.lat.).Lichenology 22 (1·2): 43–57.

執筆:原田浩,2023