#601 Lempholemma polyanthes (Bernh.) Malme |
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石灰岩生のラン藻地衣.国内では,石灰岩上あるいは石灰岩上の蘚苔類マットに生える個体が確認されている.亜葉状であり,細長くなった裂片が連結して多少とも立体的な網目状になる.Collema s.lat. 広義イワノリ属に似て,地衣体は同層で皮層を欠くことから,地衣体の,緑褐色を帯びた色彩と光沢の無さが似ているが,子嚢胞子が単室であることで区別できる
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【外部形態】地衣体は直径 1~3 cm,亜葉状.裂片は幅広くならず,しばしばひも状に伸びて,これが多少とも立体的な網目状となり,時に緑色を帯びた暗褐色か黒褐色で,地衣体下方では多少とも淡色となる.子器は地衣体上に埋没し,これを生じた個所はほとんど球形に膨れ,しばしば密集する.子器(球形となった周りの地衣体を含む)はくびれ概ね球形に裸出し直径 0.15~0.25 mm,あるいは埋もれて目立たない.子器盤は直径 0.08~0.13 mm,橙褐色で概ね平坦.子器盤周辺では果托が薄く子器盤と同様の色彩を帯びるため,子器盤の輪郭は分かりにくい.粉子器は未見. 【内部形態】地衣体は皮層を欠き,同層,全体がゼ ラチン質からなり,表面付近では褐色を帯びるが,内部は無色,繊維状の菌糸がまばらに分布する.子器はレカノラ型.果托はよく発達し,子嚢層の側方で厚さ 50~100 µm,表面付近では褐色,数珠状のNostoc が折りたたまれ概ね無色の粘液鞘に囲まれる.果殻は子嚢層の側方で厚さは概ね 10~20 µm,無色,繊維菌糸組織,子嚢層の下方では薄くなり不明瞭となる.子嚢下層は 厚さ 20~30 µm.子嚢層は無色,厚さ 90~120 µm. 子嚢胞子は1子嚢中に 8 個生じ,11~13 × 5~7 µm,無色, 単室,細胞壁は厚さ約 0.5 µm.(文献1を一部改変) |
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【化学成分】- 【分布と生態】石灰岩に直接生えるか,石灰岩上の蘚苔類マット上に生育 |
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アミヒメイワノリ/網姫岩海苔 Lempholemma polyanthes (Bernh.) Malme |
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【異名等】ー | |||||
【文献1】原田 浩 . 2019./ 日本産石灰岩生地衣類の分類学的研究(2).日本新産のイワノ リ科地衣類,アミヒメイワノリ Lempholemma polyanthes./ Lichenology 18 (1): 15‒18. |
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執筆:原田浩,2023.3 | |||||
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