チャシブゴケ属Lecanoraの中で本種は以下の形質により特徴づけられる：　樹皮着生，地衣体は連続し多少とも区画化し，灰白色から灰緑色，子器は比較的小さく，密集し，明らかに突出し，子器盤はごく初期には平坦，後にわずかに窪み，暗赤褐色，果托にシュウ酸カルシウムの大きな結晶を含む．

本種によく似るLecanora nipponica は以下の形質により異なる：　子嚢上層に顆粒を含み，子器はより大きく（直径2 mmまで），ガンガレオイディンを欠く（文献１）．

【外部形態】地衣体は痂状，連続し，概ね平滑，平坦，多少とも区画化し，灰白色から灰緑色．地衣体周辺のプロタルスは目立たない．

子器は密集して生じることが多く，レカノラ型，ふつう直径1 mm以下，明らかに突出し，基部は明らかにくびれる．子器盤は暗赤褐色，初期はほぼ平坦で，後にわずかに窪み，粉霜を欠く．縁部は子器盤より突出し，薄く，地衣体と同色．

【内部形態】果托に顕著なシュウ酸カルシウム結晶を含む．子嚢上層に顆粒を欠く．子嚢胞子は1子嚢中に8個生じ，10-14 × 4-5 µm（文献１）

【化学成分】アトラノリン，ガンガレオイディン（文献１）

【生態】樹皮着生．

【分布】本州・四国，暖温帯から冷温帯下部（文献１ほか）．報告例は比較的少ない