#620 Lecanora nipponica H.Miyaw. | |||||
チャシブゴケ属Lecanoraの中でも,千葉県などでは比較的よく見かけられる種である.本属の中で,本種は以下の形質により特徴づけられる: 樹皮着生,地衣体は連続し多少とも区画化し,灰白色から灰緑色,子器は比較的大きく,明らかに突出し,子器盤はごく初期には平坦,後にわずかに窪み,暗赤褐色,果托にシュウ酸カルシウムの大きな結晶を含む.
本種によく似るLecanora argentata は以下の形質により異なる: 子嚢上層に顆粒欠き,子器は小さく(ふつう直径1 mmまで),ガンガレオイディンを含む(文献1による).
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【外部形態】地衣体は痂状,連続し,概ね平滑,平坦,多少とも区画化し,灰白色から灰緑色.地衣体周辺のプロタルスは目立たない. 子器はレカノラ型,直径2 mm以下,明らかに突出し,基部は明らかにくびれる.子器盤は暗赤褐色,初期はほぼ平坦で,後にわずかに突出し,粉霜を欠く.縁部は子器盤より突出し,薄く,地衣体と同色. 【内部形態】果托に顕著なシュウ酸カルシウム結晶を含む.子嚢上層に顆粒を含む.子嚢胞子は1子嚢中に8個生じ,8-10 × 4.5-6 µm(文献1) |
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【化学成分】アトラノリン,未同定物質,(ガンガレオイディンを欠く)(文献1) 【生態】樹皮着生. 【分布】北海道~九州,冷温帯周辺(暖温帯にも分布する)(文献1ほか). |
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ヤマトチャシブゴケ/大和茶渋苔(文献2) Lecanora nipponica H.Miyaw., J. Hattori Bot. Lab. (64): 296 (1988). |
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【異名等】- |
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【文献1】 Miyawaki H. 1988./ Studies on the Lecanora subfusca group in Japan./ J. Hattori Bot. Lab. (64): 271-326. 【文献2】宮脇博巳・原田浩.2016./ 日本産チャシブゴケ属(Lecanora)の新和名./ Lichenology 15: 123-125. |
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執筆,原田浩,2024 | |||||
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