#788 Arctomia teretiuscula P.M.Jørg. |
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ほぼ痂状のラン藻地衣.地衣体はサンゴ状(裂芽のよう),皮層は2 から3 細胞層からなり,裸子器は暗褐色のビアトラ型であり,Pannariaceaeハナビラゴケ科のように見えるが,子嚢胞子が紡錘形で平行多室であることで区別できる.
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【外部形態】地衣体は鱗片状からほぼ痂状,裂芽状の突起(多くは直径0.1 ‒ 0.15 mm,長さ 0.1 ‒ 0.2 mm)からなり,暗褐色(日陰となる下側は褐色). 裸子器は散在あるいは少数が密集し,無柄,直径0.3 ‒ 0.7 mm,ビアトラ型.子器縁部は薄く,褐色,後に不明となる.子器盤は暗褐色,平坦で縁部と同じ高さ,後に突出,光沢はほとんどなく,粉霜を欠く.
【内部形態】 皮層はたいてい2 細胞層,厚さ5 ‒ 10 μm,細胞はほぼ球形,細胞内腔は直径約 2 μm,時にエピネクラルレイヤー状となり,腹面側では無色の繊維状の菌糸(rhizohyphae)がわずかに伸びる;細胞壁は背面側では褐色となるが,他では無色,たいていは厚さ 1 μm 以下.髄層はフォトビオント細胞(シアノバクテリア,直径3 ‒ 5 μm)の密な集団(直径15 ‒ 50 μm)で満たされ ,菌糸組織は皮層に似るが若干緩い.果殻は厚さ40 ‒ 60 μm,異形菌糸組織,球形から亜球形の細胞からなり(最大でおよそ長さ10 μm,幅7 μm). 子嚢下層は厚さ20 ‒ 50 μm,下の境界は不明.子嚢層は厚さ75 ‒ 120 μm.側糸はわずかに分枝癒合し,直径約1 μm(菌糸内腔),先端では多少とも膨れて数珠状(菌糸内腔の直径約2 μm)となり,暗褐色の帽をかぶる.子嚢は棍棒状で80 ‒ 85 × 約15 μm.子嚢胞子は1子嚢中に8 個生じ,無色,紡錘形,35 ‒ 60 × 5 ‒ 7 μm,平行(6~)8室. (文献1を一部改変) |
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【化学成分】- 【分布と生態】富士山頂の,やや湿った岩上で発見された(文献1). |
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タカネノリ/高嶺海苔 Arctomia teretiuscula P.M.Jørg. |
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【異名等】ー | |||||
【文献1】原田 浩.2022.富士山頂で発見された日本新産属のラン藻地衣,Arctomia teretiuscula タカネノリ(Arctomiaceae タカネノリ科). Lichenology 20 (1): 9‒15. |
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執筆:原田浩,2021 | |||||
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