#796 Porina exserta Müll.Arg. | |||||
岩上生ならびに樹皮着生マルゴケ属の,顕著な果托を生じる種の中では,地衣体に裂芽状突起も小いぼ状突起も生じず,子器の基部がくびれず,子嚢胞子は平行多室で細長く(52 – 74 × 2.5 – 3.5 μm),顕著な外膜を欠くことによって特徴づけられる.
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【外部形態】地衣体は痂状,連続し,概ね平滑で,裂芽状突起を欠き,小いぼ状突起で覆われることはなく,わずかに光沢があるか,光沢はなく,緑がかったあるいは褐色がかった灰色,から灰褐色. 被子器は顕著な果托があり,ドーム状に突出するかほぼ半球形,直径0.4 – 0.6 mm,基部は顕著にくびれず,果托表面は平滑で,頂部は丸く,孔口を中心として直径0.1 – 0.2 mmがほぼ黒色となるか,暗化しない. 【内部形態】地衣体は厚さ20 – 30 μm,皮層は厚さ概ね5 – 10 μm,髄層にはシュウ酸カルシウムの大きな結晶が含まれる.果托は顕著で,シュウ酸カルシウム結晶の連続する厚い層を生じる.外殻は顕著ではないか,果殻に圧着し子器基部にまで到達し,側方には広がらず,子器側方では厚さ20 – 40 μm,全体的に橙褐色から褐色を帯びた橙色で,頂部では多少とも暗い.果殻は側方と下部では無色から橙褐色で厚さ約10 μm,上方では橙褐色で外殻と癒合し全体で厚さ30 – 50 μm.子嚢層は多少とも上下に扁平.側糸はほぼ単一.子嚢胞子は52 – 74 × 2.5 – 3.5 μm,無色,平行多室(隔壁は7 – 17),薄壁,顕著な外膜を欠く. (文献1を改変) 【化学成分】記録なし |
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【分布と生態】高知県と宮崎県から報告がある;森林でおおわれた渓谷の常緑広葉樹林内の岩上で見つかった.(文献1) |
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ホソミマルゴケ/細実丸苔 Porina exserta Müll.Arg. |
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【異名等】― |
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【文献1】Harada H. 2015./ Saxicolous and corticolous species of Porina (lichenized Ascomycota, Porinaceae) of Japan (part 1)./ Lichenology 14(1): 1-26. |
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執筆:原田浩,2023 | |||||
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