#797 Porina mammillosa (Th.Fr.) Vain. | |||||
マルゴケ属の中では,高山に生育する数少ない種で,岩上の蘚苔類マットなどに生え,被子器はほぼ黒色で,子嚢胞子は平行4室であることで特徴づけられる.
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【外部形態】地衣体は痂状,連続し,ほぼ平滑だが,基物の蘚苔類などの表面を覆うためいぼ状あるいはしわを生じ,灰褐色から暗紫褐色,光沢はない. 被子器は顕著な果托を欠き,ふつう地衣体から半球形に突出するが,ときにドーム状に突出するかほぼ球形で,基部あるいは基部から2/3程度まで薄い地衣体で覆われ,直径0.25 – 0.5 mm,非常に暗い褐色からほぼ黒色,平滑,わずかに光沢があり,頂部は丸く,孔口周辺がわずかに窪む. 【内部形態】地衣体の厚さはまちまちで,共生藻細胞が繊維状の菌糸でくるまれた構造の集合からなる.共生藻(スミレモ類)細胞は 15 – 22 x 10 – 17 μm.被子器壁はシュウ酸カルシウム結晶を欠く.果托は全体が外殻と化す.外殻は果殻に圧着し下方まで伸び,側方で厚さ約50 μm,外側では非常に暗い赤紫褐色,内側は褐色.側糸はほぼ単一.子嚢は幅の狭い棍棒状からほぼ円筒形で,120 × 10 μm,全体が薄壁.子嚢胞子は18 – 23 × 4.5 – 6 μm,無色,平行4室(隔壁は3),薄壁,顕著な外膜を欠く. 【化学成分】記録なし |
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【分布と生態】本州中部(長野県)の森林限界付近で,ハイマツ低木林間の花崗岩の転石の影の垂直面に生える蘚苔類状に生育していた. |
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ミヤママルゴケ/深山丸苔 Porina mammillosa (Th.Fr.) Vain. |
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【異名等】― |
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【文献1】Harada H. 2016./ Saxicolous and corticolous species of Porina (lichenized Ascomycota, Porinaceae) of Japan (part 2)./ Lichenology 14(2): 91-118. |
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執筆:原田浩,2023 | |||||
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