#800 Porina orientalis P.M.McCarthy

岩上生ならびに樹皮着生マルゴケ属の,顕著な果托を生じる種の中では,子嚢胞子は平行8室で比較的小さく(長さ50 μmに満たない),顕著な外膜があり,地衣体が概ね平滑で,裂芽状突起や小いぼ状突起で覆われないことによって特徴づけられる.

 

【外部形態】地衣体は痂状,連続し,ほぼ平滑,光沢がないか,わずかな光沢があり,緑がかった灰色で,裂芽状突起を欠く.

被子器は顕著な果托があり,ほぼ半球形かドーム状に突出し,直径0.3 – 0.45 mm,基部は顕著にくびれることはなく,また広がることもなく,表面は平滑で,頂部は丸く,ときに孔口を中心として直径0.1 – 0.3 mmが暗赤褐色から暗褐色化する.

【内部形態】地衣体は厚さ30 – 50 μmで,約5 μmの皮層を生じるかこれを欠く.果托は顕著で,シュウ酸カルシウム結晶の連続する層を生じる.外殻は上部では果殻と連続し,側方に広がらず中部近くまで達し,上部では暗赤褐色暗黄褐色,下方は橙黄色.果殻は側方では無色から橙褐色で厚さ約10 μm,上方では外殻と同色となり癒合する.子嚢層は概ね球形から僅かに上下に扁平で,高さ170 – 210 μm,幅 180 – 270 μm.側糸はほぼ単一.子嚢胞子は31 – 43 × 3 – 5 μm,無色,平行8室(隔壁は7),薄壁,顕著な外膜(厚さ約2 μm)がある. 

【化学成分】記録なし

【分布と生態】四国と九州の南部(高知県,鹿児島県)の渓谷の森林内の岩上で見つかった.

タイワンマルゴケ/台湾丸苔

Porina orientalis P.M.McCarthy

【異名等】

【文献1】Harada H. 2015./ Saxicolous and corticolous species of Porina (lichenized Ascomycota, Porinaceae) of Japan (part 2)./ Lichenology 14(1): 1-126.

執筆:原田浩,2023