#802 Lecanora chionocarpa Hue

 

チャシブゴケ属Lecanoraの中で,本種は以下の形質により特徴づけられる: 樹皮着生,地衣体は多少とも繊維状で,プロタルスは顕著な綿毛状となり,子器は大きく,明らかに突出し,基部は顕著にくびれ,子器盤は赤褐色,果托にシュウ酸カルシウムの大きな結晶を欠き,子嚢上層に顆粒を欠き,微細な油滴を生じる.

 

【外部形態】地衣体は痂状,連続し,しばしば繊維状で,灰白色,地衣体周辺のプロタルスは類白色の綿毛状となる.

子器はレカノラ型,直径5 mm以下,明らかに突出し,基部は明らかにくびれる.子器盤は赤褐色,はじめわずかに窪み,後に多少とも窪むかほぼ平坦,粉霜を欠く.縁部は子器盤より顕著に突出し,類白色.

【内部形態】果托に顕著なシュウ酸カルシウム結晶を欠く.子嚢上層に顆粒を欠き,微細な油滴を生じる.子嚢胞子は1子嚢中に8個生じ,15-20 × 8-11 µm(文献1)

【化学成分】アトラノリン,ゼオリン(多量)(文献1)

【生態】樹皮着生

【分布】北海道~四国,冷温帯(文献1より).

ワタゲチャシブゴケ/綿毛茶渋苔(文献2)

Lecanora chionocarpa Hue, Ann. Mycol. 13: 89 (1915)..

【異名等】-

【文献1】 Miyawaki H. 1988./ Studies on the Lecanora subfusca group in Japan./ J. Hattori Bot. Lab. (64): 271-326.

【文献2】宮脇博巳・原田浩.2016./ 日本産チャシブゴケ属(Lecanora)の新和名./ Lichenology 15: 123-125.

執筆,原田浩,2024