#821 Graphis awaensis Vain. | |||||
モジゴケ属の中では以下の形質により特徴づけられる: 地衣体にやや光沢があり,子器が地衣体にほぼ埋もれ,ラビア(横断面)が基部まで黒色となり,黒色の組織が子嚢層の下方まで広がらないこと,子嚢胞子が平行多室で大きい(長さ40µm以上).稀な種である.
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【外部形態】 地衣体は概ね灰緑色だが,やや褐色を帯び,連続し,平滑,多少とも光沢がある.子器(リレラ)は,地衣体上からほとんど突出せず,しばしば湾曲し,多少とも分枝する.ラビア(果殻)の表面は平滑,黒色.対となるラビアは互いに離れ,これらに挟まれる子器盤は,黒っぽく粉霜を欠き,窪む.
【内部形態】(子器横切片)子器壁は下端まで黒色化し,黒色部分は子嚢層の下には広がらない.子嚢層は油滴を欠く.子嚢胞子は平行多室,細胞はレンズ状で12~18室,42-70×10-12µm(文献1).
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【生態】スダジイ樹幹上にもっともよく見られる(文献1) 【分布】暖温帯(特に暖かい地方)に分布する.千葉県・高知県・長崎県・鹿児島県(文献1など)
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アワジゴケ/安房文字苔 Graphis awaensis Vain. |
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【文献1】Nakanishi M. 1966/ Taxonomical studies on the family Graphidaceae of Japan/ J. Sci. Hiroshima Univ., ser. B, div. 2 (Bot.), 11 (1): 51-126, pls. I-V. |
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執筆,原田浩,2024 | |||||
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