モジゴケ属の中では，本種は以下の形質で特徴づけられる：　子器は顕著に突出し，非常に短く，ほぼ楕円形から長楕円形で，顕著な果托が上部まで覆う；（横断切片）ラビアは基部まで黒化し，側方は輪郭が不規則で果托と接し，基部では対となるラビア間はごく近接するが連続はしない；子嚢層に油滴を欠く；子嚢胞子は石垣状多室で長さ70µm以上；地衣体はノルスチクチン酸を欠き，K＋黄色っぽい（赤くはならない）．

【外部形態】 地衣体は灰白色，連続し，平滑，光沢はない．子器（リレラ）は，地衣体上から顕著に突出し，上部まで果托で覆われ，基部はくびれ，短く，ほぼ楕円形から長楕円形．ラビアは閉じるか，わずかに子器盤が見える．

【内部形態】（子器横切片）子器壁は基部まで黒化し，側方（外側）の輪郭は不規則で，果托に覆われ，基部では，対となるラビアは近接するが連続しない．果托は厚い．子嚢層は油滴を欠く．子嚢胞子は石垣状多室（細胞はレンズ状ではない），70-120 × 12-20 µm（文献１）．

【生態】林内から林縁の樹皮に着生．

【分布】主に亜熱帯．本州（広島）・四国・九州・沖縄等（文献１，ほか）