雲南の地衣類Lichens of Yunnan, China
5.地衣類のお茶
 
地衣類をお茶として利用

 雲南省と言えば,プーアル茶がよく知られるように,茶の産地として有名です.南部のプーアル付近を中心にして,南西部にかけて,茶が広く栽培されており,省都の昆明でも日常的に緑茶が飲まれています.

 

 一方,チベット族が住む北西部の山岳地帯は,寒冷地のため茶は栽培されず,身近に生える地衣類が茶として利用されてきたようです.

 その一つが(1)「雪茶」,日本ではムシゴケと呼ばれます.もう一つの(2)「紅雪茶」は,日本には分布しない地衣類です.

 
(1)雪茶

雪茶とは

雲南で「雪茶」と呼ばれるのは,ムシゴケThamnolia vermicularisという地衣類です.日本では,本州中央部の標高3000m近い高山や,北海道の大雪山系のような限られた場所にしか分布していません.雲南省北西部の山岳地帯は,充分に寒い気候のため,比較的普通に生育する地衣類で,そこに住むチベット族が茶の代用品と使ったのが始まりのようです.1990年代~2000年代には,昆明市内の薬屋や,茶の市場でも売っていました.
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雪茶(=ムシゴケ,Thamnolia vermicularis)の標本.

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「雪茶」を淹れる

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-1.深いコップなどに雪茶を適量いれる.

-2.熱湯を注ぐ.

-3.黄色っぽい液体になる.

雪茶を口でよけながら飲む.

終わったら,再び熱湯を注いで飲む.

「雪茶」(ムシゴケ)の生態

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A-1.天宝山.カラマツの根元付近の

地上に生えていた.

-2.白馬雪山Y口の東側.

標高約4000m,森林限界近く.

-3.

「雪茶」の販売品

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(2)紅雪茶

紅雪茶とは

雲南では,雪茶と同じように茶の代用品として使われる地衣類です.Lethariella cladonioides(レタリエラ クラドニオイデス)とLethariella Zahlbruckneri(レタリエラ ツァールブルックネリ)の2種が区別されずに使われています.雪茶(ムシゴケ)が真っ白なのに対し,こちらは橙色であることから,「紅」雪茶とされたようです.

雲南の北西部に分布するのは雪茶と同じですが,それほど普通には見られない地衣類です.

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紅雪茶(=Lethariella cladonioides,

レタリエラ クラドニオイデス)の標本.

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「紅雪茶」を淹れる

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-1.深いコップなどに雪茶を適量いれる.

-2.熱湯を注ぐ.

-3.赤紫の液体になる.

紅雪茶を口でよけながら飲む.

終わったら再び熱湯を注いで飲む.

「紅雪茶」Lethariella レタリエラの生態

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I-1.老君山の岩上に生える

Lethariella cladonioides.

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4.白馬雪山Y口近く.カラマツの枯れた枝の付け根に付く.

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「紅雪茶」の販売品

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側面

斜め上から    
 
(3)雪茶・紅雪茶の販売の様子

 雪茶を販売しているのに初めて出会ったのは,1994年の中甸でした.チベット族の男性が,道端に品物を広げて様々な物を売っている中に,雪茶がありました.その後しばらくは,上に示した袋入りや箱入りの雪茶を,昆明などの街なかの薬屋で見るばかりでした.また,昆明の茶の交易市場付近のお茶屋さんでは,雪茶はしばしば見かけました.

 紅雪茶が販売されるのはとても珍しいことだったようです.しかし,昆明の茶交易市場で2005年に原田は初めて見ることになりました.

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A-1.1994年,中甸.街角で民間薬などを

売るチベットの男性.

-2.ビニール袋入りの.緑地に赤字の「茶」

の文字があるのが,雪茶.

 
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B-1.2007年,香格里拉(かつての中甸)

の郊外,藍月山谷のロープウェーの土産物屋.

雪茶,紅雪茶ともに量り売りしていた.

-2.雪茶.

-3.紅雪茶.