NPOと行政とのパートナーシップはなぜ必要なのか



千葉県環境生活部NPO活動推進課 内山真義

1.なぜNPOとのパートナーシップなのか
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 NPOとは、市民の自発性に基づき営利を目的とせず、自立的・継続的に社会サービスを提供する団体と考えられています。ここでは、自発性、非政治性、非営利性、公共性、継続性などが求められているわけです。法人格を持っているNPO法人とは違いますが、これらの条件を備えていれば、すべてNPOと千葉県はしています。
 千葉県はNPO立県を宣言しています。しかし、NPOの解釈にはかなりの誤解もあるようです。NPOという言葉ではなく、"市民活動団体"のほうがよかったかと最近は堂本知事も言っているようです。はじめは、"市民活動推進法"だったのが、のちに略称としてNPO活動推進法となったいきさつもありました。
 NPOが生まれた事情として、市民ニーズの多様化・多元化、地域のコミュニティーの崩壊、地方自治体の危機的な財政状況、市民の自発的活動の活発化、などがあげられます。
 ここから、パートナーシップ型行政への転換の必要性、新しい社会サービスの提供主体としてのNPOに対する期待、などが考えられます。
 ある市では、すぐやる課などを作ったりしましたが、市民が自発的な活動をしなくなったという反省もあります。市街地では少子高齢化なども原因で、地域の自治会が機能しなくなった。従来からのコミュニティーの崩壊です。地方自治体の危機的な資金不足から、NPOにやってもらおうという面もあります。千葉県は数十億の赤字団体です。NPOや企業とのパートナーシップ行政への転換が迫られています。
 NPOを下請けに使う傾向が出ているのではないかとの批判もあります。しかし、阪神大震災で見られるような市民の活動もあったことをお互いの体験としたいと思います。 

2.NPOと行政との関係
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 NPOと行政とは、お互いに独立した別個の存在です。基本は無関係、はじめにパートナーシップありきではありません。パートナーシップと支援とを結び付けて考えないで欲しいと思います。
 ここで、NPOと行政との問題点を整理したいと思います。

  1. ある目的を共有する。目的が明確でなければ共有できない。
  2. 対等でありながら、協力的な関係。お互いが独立した存在であることをきちっと認め合う。
  3. お互いの特性が生かされるような手法での事業展開。
  4. 双方にとって、よりよい成果が期待される関係。

行政の支援からは、次のようなかかわりが考えられます。

  1. 協働事業:企画立案から仕事の完了までを協力する。従来にない新しいサービスの提供など。
  2. 支援事業:NPOの活動を支援するための資金援助や実務講座の開催など。
  3. 外部委託事業:行政が企画し、その方針に従い事業実施を信託する。例えば公園の清掃整備など。

3.パートナーシップ型行政を実現するための基本方針

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 千葉県では、2004年2月に県庁職員向けのパートナーシップマニュアルを策定しました。

  • 全庁でパートナーシップ型行政の推進(NPO推進課だけの仕事ではない)。
  • ワンストップサービス、他の所へつなげて1か所で問題が解決できるように。
  • 相互理解の促進と対等性の確保。(おかみの立場ではない)。
  • 公正で透明性のある、適正な評価手法の確立。


4.NPOとの協働に関する県職員の意見
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2003年7月にパートナーシップに関して、県職員にアンケート調査を実施しました。回答数は859でした。

【NPOの印象】

  • NPOは行政や企業では出来ない活動をしている。
       Yes 49%  No 38%
  • きめ細かい活動をしている。
       Yes 39%  No 30%
  • 県民の多様なニーズに対応している
       Yes 29%  No 38%
  • どの程度のNPOが役に立っているかについては、やりすぎが心配・・・41%、圧力団体的になっていると感じている人が47%、となっています。

【NPOに対する不安】
トラブルが発生した時の責任体制やマネージメント能力が不安、企業よりもサービスの質が悪い、書類作成が下手な傾向が見られる、という意見もありました。

【NPOを選択する基準】
メンバーの意欲や実行力、過去の実績や信用情報、などを考慮するという回答が目立ちました。

NPOが県民のニーズをつかんでいるとは思えない、NPOと協働しなくても、行政は工夫次第で十分に課題に対応できる、というようなNPOに対する否定的な意見も出されました。

5.パートナーシップを築く上での課題
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  • お互いの理解不足:NPOは行政の仕組みを知らない。行政はNPOを見ないで知ったかぶりで判断している。
  • 特定のNPOとだけ関係が深くなりやすい。新しいNPOとはかかわらない。
  • NPOの下請化。NPOを使えば安くなると見ている風潮がある。
  • 市町村・県・国の役割分担が、NPOには分かりにくい。行政もNPOの果たす役割がわかっていない。
  • NPOをパートナーとして組む時の、選択基準がよくわからない。
  • NPOは、行政のタテ割りに困っている。(複数の課にかかわることが多いのに)。
  • 普通の市民には、パートナーシップの役割や成果がわからない、知らされない。

千葉県では、県とNPOとの意見交換会として、"ちばパートナーシップ市場"を開催しています。協議機関として、選考委員会も出来ていますが、まだ情報は少ないようです。