第1章  環境教育演習の学び方



環境教育演習とは

 千葉県立中央博物館の講座の一つ「環境教育演習」は、多様な経験と価値観をもつ人々が集って、いっしょに学ぶことを目的に、1999年に始まりました。やりたい人が参加、授業料なし、試験・成績評価なし、受講したからといって何の資格が得られるわけではない自発的な市民の学びの場です。
 2002年度2003年度の2年間にわたり、参加者は三番瀬を題材にして、人と自然とのかかわり・人と人とのかかわりについて学んできました。三番瀬問題を考える際には、日本の経済成長を支えてきた湾岸開発を歴史的な観点から評価するとともに、人の労働や暮らしの豊かさについて考えることが必要です。環境教育では総合的なものの見方を獲得することが原則ですが、その具体的な方法を、演習で試行錯誤しながら検討してきました。そして、ある程度の知識もあり概念化ができる年代でありもうすぐ社会人になる高校生を対象とする教材をつくることを励みに学んできました。この成果が本資料です。
過去を理解し、現在を認識し、未来を見通して、総合的に考えることのできる力を身につけたいと思います。

演習の進め方

 演習の参加者は、三番瀬に深くかかわっている市民活動家から、演習をきっかけに初めて三番瀬について考えるようになった人まで多様です。本やインターネットの情報を参考にしながら、三番瀬の対象となる小櫃川河口干潟も含め、なるべく現場を自分の目で確認し、机上の空論を避けてきました。
 演習は、それぞれが関心のある話題を自宅でまとめ、演習時に発表し、参加者全員で討論するスタイルです。これは、議論を通して自分の考えが明確になること、そして一人よりグループの方がはるかに問題解決力が高いからです。さらに、演習は現実社会から切り離された学びの場ですから、安心して自分の意見を言えるなど、人間関係トレーニングの場ともなっていますものです。
(小川かほる)

みんなで考えよう。
  • 学校での学びとこの演習の学びで、同じところはどこですか?また、違うところはどこですか?
  • あなたが社会人になったとき、学びのチャンスをどうつくりますか?クラスで話し合ってみましょう。
  • あなたが住む地域に生涯学習施設がありますか?調べてみましょう。