No.1733 2019/09/26(木)

 ヒメアマツバメ



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 館山市内でコシアカツバメの集団営巣地(コロニー)を見つけた。と思ったら、そこにある巣の多くは、コシアカツバメではなくヒメアマツバメが家主であった(写真1)。この泥で作られた特徴的な徳利型の巣は、まぎれもなくコシアカツバメが作ったものである。その家主がヒメアマツバメだとは、いったいどういうことなのだろう。

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写真1.ヒメアマツバメの巣(この写真にある5巣のうち、少なくとも4巣にはヒメアマツバメが出入りしていた)
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 実は、コシアカツバメの巣は様々な動物にとって使い心地が良いらしく、しばしば他の動物に利用される(教室博日記No.1721「コシアカツバメ」を参照)。ヒメアマツバメはよくコシアカツバメの巣を乗っ取って、自分の巣にして繁殖する(写真2)。スズメと並んで、コシアカツバメの巣を利用する動物の代表格である。ヒメアマツバメもスズメも、空いている巣を使うこともあれば、繁殖中のコシアカツバメを追い出して横取りする場合もある。また、コシアカツバメの巣と形状が似ているイワツバメの巣もよく利用する。

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写真2.巣の入り口に姿を現したヒメアマツバメ
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 コシアカツバメの巣を乗っ取ったヒメアマツバメは、巣の内壁に羽毛や枯れ草などの巣材を唾液で固めて貼り付ける。巣の入り口からこの羽毛がはみ出て見えることがある(写真3)。コシアカツバメの巣の入り口に羽毛が付いているかどうかは、その巣がヒメアマツバメに乗っ取られているかどうかを見極めるための重要な判断基準となる。

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写真3.巣の入り口付近の内壁に、羽毛を貼り付けるヒメアマツバメ
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(平田和彦)

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 ヒメアマツバメ Apus nipalensis(アマツバメ科)

 コシアカツバメ Hirundo daurica(ツバメ科)

 イワツバメ Delichon dasypus(ツバメ科)

 スズメ Passer montanus(スズメ科)

 


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