教室博日記 No.1821

 2020/06/18(木)

 ケイワタバコ

 清澄山系にて。渓谷沿いの岩壁でケイワタバコの花が咲き始めていた(写真1)。昨年、同じ場所で咲き始めを確認したのは6月26日のことだったので、今年は昨年より1週間ほど早い。花茎に密生した毛が“毛”イワタバコの特徴だ。変種関係にあるイワタバコにはこの毛がない。

林道脇に咲いたケイワタバコ
  • 写真1

 ケイワタバコとイワタバコのもう一つの区別点は葉の形だ。イワタバコの葉は左右対称なのに対して、ケイワタバコの葉は左右非対称(写真2)。千葉県にはケイワタバコのみが自然分布する。

ケイワタバコの小さめの葉
  • 写真2

 葉の大きさにもばらつきがある。写真2の葉は長さ12センチほどだが、写真3の葉は30センチを超える長さ。面積で言えば10倍近い違いがある。

ケイワタバコの大きな葉
  • 写真3

 中には30以上の花をつけた立派な株もある(写真4)。

多数の花を咲かせたケイワタバコの大株
  • 写真4

 そして多数の株が密生した岩壁は圧巻だ。この崖を見上げると、無数の目に見下ろされているように錯覚する。このようなケイワタバコの大群落は房総丘陵でもなかなか見ることができない。

ケイワタバコの大群落
  • 写真5
  • ケイワタバコ Conandron ramondioides var. pilosus(イワタバコ科)
  • イワタバコ Conandron ramondioides(イワタバコ科)

(尾崎煙雄)