教室博日記 No.1843

 2020/08/05(水)

 アオタマムシ

 房総丘陵の森にて。ちょうど1年前の8/5にアオタマムシを観察した場所。立ち枯れたモミの大木はまだその場所に立っていた(写真1)。昨年と比べると上部の樹皮の大半がはがれ落ち、腐朽(ふきゅう)が進んだ印象だ。

  • 写真1 モミの立ち枯れ

 もうアオタマムシは来ないかとあきらめて通り過ぎた。帰りにもう一度見ると、緑に輝く甲虫がいた(写真2)。アオタマムシだ。

モミの幹に止まるアオタマムシ
  • 写真2

 体長2センチ半ほどの雌だ(写真3)。何度見ても美しい。

アオタマムシの雌
  • 写真3

 幹に開いた小さな穴にお尻から伸ばした産卵管を差し込む仕草をしている(写真4)。穴の直径は3〜4ミリ程度で、キクイムシ類などの小形の甲虫が開けたものと思われる。

産卵管を伸ばすアオタマムシ
  • 写真4

 今回は飛び去る気配がなかったので、動画を撮影してみた。幹の表面を歩き回り、立ち止まっては産卵管を動かして穴を探り当てると差し込んで3〜4秒静止する。樹皮のすき間だけでなく、他の昆虫が開けた穴も産卵に利用しているようだ。

  • アオタマムシ Eurythyrea tenuistriata(タマムシ科)
  • モミ Abies firma(マツ科)

(尾崎煙雄)