教室博日記 No.1850

 2020/08/13(木)

 2種のトラカミキリ

 清澄山系にて。8月に入ったら、暑さと日照りの中、昆虫も活動が難しいのか、めっきり見かける虫の数が減ってしまった。そんな中、マテバシイの衰弱木で2種のトラカミキリを見つけた。ムネモンアカネトラカミキリ(別名:アマミトラカミキリ)(写真1)とウスイロトラカミキリ(写真2)だ。どちらも体長は10〜20ミリほどの中型のトラカミキリである。カミキリムシはふつう触角が体より長いものが多いが、トラカミキリのなかまは触角がとても短いのが特徴だ。

  • 写真1 ムネモンアカネトラカミキリ
  • 写真2 ウスイロトラカミキリ

 ムネモンアカネトラカミキリについては過去の教室博日記でも紹介がある。日本では屋久島以南の島々と、飛び離れて房総半島だけに生息している。館山市周辺から年々北上、分布を拡大していて、房総半島南部ではもはや普通に見られるトラカミキリの一種となっている。

  一方、同属のウスイロトラカミキリは、千葉県以外の山地ではカミキリ好きの人たちも目もくれない普通種だが、千葉県ではめったに見ることのできない珍しい種なのだ。千葉県ではどうやら清澄山系にしか生息していないようで、数も少ない。この日は幸運にも何頭か見ることが出来た。この2種のトラカミキリを同時に見られる場所は世界中でここしかないということだ。

  • マテバシイ Lithocarpus edulis(ブナ科)
  • ムネモンアカネトラカミキリ屋久島・奄美諸島・沖縄諸島亜種
  •      Xylotrechus atronotatus angulithorax(カミキリムシ科)
  • ウスイロトラカミキリ Xylotrechus cuneipennis(カミキリムシ科)

(斉藤明子)