教室博日記 No.1921

 2021/02/26(金)

 タゴガエル繁殖地

 崖に露出した地層。縞模様の所々が黒く見えるが、そこには穴が空いていて水がしたたり落ちている(写真1)。地層の境目から地下水が湧き出し、水の通り道が侵食されて細長い穴になっているのだ。タゴガエルはこうした崖の穴を繁殖地としている。タゴガエルについては教室博日記で何度も紹介している(例えば2018/03/022014/03/14など)。

タゴガエル繁殖地となっている崖
  • 写真1 タゴガエルの繁殖地となっている崖

 房総丘陵のタゴガエルの繁殖期は2月から3月。崖に空いた穴の中に潜んでいるので、なかなか姿を見ることはできないが、雌を呼ぶ雄の鳴き声が手がかりだ。今回はその鳴き声を動画で紹介する。一つ目の動画は地層のすき間から水がしたたる崖の様子。4秒目あたりで「コッ」と聞こえるのがタゴガエルの鳴き声 。

  • 動画1 すき間から水がしたたる地層

 二つ目の動画では、崖のそこここから複数のタゴガエルの鳴き声が聞こえる様子。崖の前に立って耳を澄まして待っているとこんな合唱を聞くことができる。

  • 動画2 地層から聞こえるタゴガエルの合唱

 タゴガエルの繁殖場所を探していて、この声を聞くと達成感がある。ライトで照らして穴をのぞき込んでも、奥に潜んでいるらしいカエルの姿は見えなかった。繁殖期には入ったが、まだ産卵には早いようだ。

  • タゴガエル Rana tagoi tagoi(アカガエル科)

(尾崎煙雄)