フィールドノート No.2211

 2022/11/28(月)

 コシオガマ

 富津市内にて。岩壁のちょっとしたくぼみに生えた植物(写真1)。手前に写っている薄緑の草はコシオガマ、その奥に見える濃い緑はヒメコマツの実生(みしょう)。コシオガマは他の植物の根に寄生して水や養分を得る寄生植物だが、寄生せずに自力だけで生育することもできる「条件的寄生植物」である。

  • 写真1

 もし寄生しているとしたら、この場所ではヒメコマツ以外に寄生する相手はいなさそうだ(写真2)。コシオガマはさまざまな植物に寄生することが知られているが、針葉樹に寄生することもあるのだろうか。根を掘って確かめてみたかったが、貴重なヒメコマツの実生を傷つけるわけにもいかないので諦めた。

  • 写真2

 2020年10月にコシオガマの花を観察したが、この日はちょうど果実がなっていた(写真3)。

  • 写真3

 コシオガマの果実は長さ1センチほどの朔果(さくか)で、中には長さ1ミリほどの種子が数十個入っている(写真4)。種子の表面には細かな網目模様がある。

  • 写真4
  • コシオガマ Phtheirospermum japonicum(ハマウツボ科)
  • ヒメコマツ Pinus prviflora var. parviflora(マツ科)

(尾崎煙雄)