フィールドノート No.2232

 2023/01/26(木)

 つらら

 君津市の山中にて。前日からこの冬一番の寒さとなった。ここから近いアメダス観測点(坂畑)のデータを見ると、この日午前7時にこの冬の最低気温マイナス7.1度を記録していた。さすがに土は凍ってカチカチ。動く生きものは見当たらなかったので、つららの観察をした。

 崖にはつららが横にまっすぐ、それも何段も並んでいた(写真1、2)。

  • 写真1 横にまっすぐ並んだつらら
崖のつららの拡大
  • 写真2 

 房総ならではのつららのことは、教室博日記No.996に記載がある。この記事によると、この崖の縞模様は砂と泥が交互に重なってできた「砂泥互層(さでいごそう)」という地層で、水を通しやすい砂岩層を抜けてきた地下水が水を通しにくい泥岩層に邪魔されて横方向に流れて崖の表面でしみ出すため、泥岩層の上の位置からつららが垂れ下がるらしい。写真のように水平な地層につららがまっすぐ横に並んでいる様子を見ると、このことが良く理解出来る。

 他にも小さな崖でたくさんのつららを見ることが出来た(写真3)。地面まで繋がったつらら(写真4)、樹木の根元から下がるつらら(写真5)など。

何本も並ぶつらら
  • 写真3
  • 写真4 地面と繋がったつらら
  • 写真5 木の根元から下がるつらら

 なぜか上に向かって尖ったつららもあった(写真6)。

  • 写真6 上に向かって尖るつらら

 なぜか上に向かって尖ったつららもあった(写真6)。これはどうしたことだろうか。洞窟では天井からしたたる水滴により、下から氷筍(ひょうじゅん)が伸びることが知られているが、これはそれとは違いそうだ。横に傾いているのもおかしい。つららができた枯れ枝が重みで落下し上下逆向きとなったのかも知れないが、上向きのつららが曲がっている理由は想像がつかなかった。こんな寒い日も、山にはそれなりに不思議なことがたくさんある。

(斉藤明子)