このデジタルミュージアムは、博物館の地学分野の展示活動にスポットをあて、平成19(2007)年3月3日から5月27日まで、中央博物館で行われた「山の科学画」展を画像で紹介します。
この展示会では、地形研究者・鳥瞰図作家として知られる五百沢(いおざわ)智也氏(千葉県一宮町在住)の、日本アルプスやヒマラヤの山岳鳥瞰図を、その独自の描き方や地形の解説を加えて紹介しました。
これらの作品は、1970~1980年代にかけて、山岳雑誌に連載されていたもので、懐かしく思い出された方も多かったのではないかと思います。
また地形研究者などのフィールドワーカーや山岳愛好者の方々には、五百沢氏の作品が、自然景観を示す資料としてどのような意味を持っているか、考えるきっかけとなったのではないかと思います。
今回五百沢氏の鳥瞰図の魅力を、若い世代の方々も含め、より多くの皆様に伝えられればと思い、デジタルミュージアムで公開することにしました。
ところで、従来の展示図録は、紙面の制約があり、展示品のすべてを載せることはできませんでした。しかしこの図録は、デジタルデータのため、紙媒体の資料ではできない多量の情報を盛り込むことができました。「図録」と呼んでいますが、通常の展覧会図録とは異なり、すべての展示品をお見せすることができただけでなく、展示の企画から資料収集、展示準備作業、広報活動、講演会やシンポジウム、展示開催中のボランティア活動まで、資料や画像で紹介しています。
これらを通して、この展示会が何を目指していたのか、また博物館の展示活動とはどのようなものなのかということを、皆様にお伝えすることができれば幸いです。
博物館の展覧会事業は、「一時の展示と資料の無事返却」で終わるのではなく、「展示の状況と担当者の展示意図も含めた全体記録の作成と公開」を行って初めて完結するということを、常に心がけていきたいと思います。
なお、五百沢智也氏は平成25(2013)年12月、享年80才にてご逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
現在、五百沢氏が残された膨大な鳥瞰図原稿やスケッチ等の存在を明らかにし、後世に活用させていただくために、ご遺族のご承諾を得て、資料の整理とデータベース化の作業を進めております。皆様のご理解とご協力に感謝申し上げます。
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