5-1 千葉刑務所管理棟


所在地 千葉市
竣工年 M40
所有者 法務省
設計者 山下啓次郎
施工者 旧司法省
構造 煉瓦2
外壁 煉瓦
屋根形状・葺材 寄棟造,瓦葺,一部瓦棒鉄板葺
建築規模 690.9m2

明治33年以降,司法省は新しい制度に従い,各地に刑務所を建設することになり,司法省技師であった山下啓次郎を中心に作業が進められた。山下は帝国大学造家学科卒業後明治30年より司法省に奉職し,その施設の建築に重要な役割を果たしていった。千葉刑務所は彼が手掛けた施設の典型例である。旧鹿児島刑務所等のように門のみが保存されたものと異なり,管理棟も当初の姿をとどめており,たいへん貴重であり,県下でも最も価値の高い近代建築の一つである。

管理棟は,厳格なシンメトリーの構成をもち,赤煉瓦積みの2階建ての建築で,中央に玄関を設け,両脇のやや離れた位置に尖り屋根を持った階段室を配する。この小尖塔と軒に付けられたロンバルト・バンド風の凹凸がヨーロッパ中世風の素朴なイメージをつくり出している。しかし,開口部の廻りには白い石を配し,上部を円形アーチとするなど,ルネッサンス的要素も交え,設計者の優れたデザイン力と感性を見てとることができる。[江口]

管理棟
同上

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