懸濁物や沈殿物を食べる
海水中には様々なプランクトンや、死んだ生物が分解される途中の有機物の塊などが懸濁物(けんだくぶつ)となって浮遊しています。海では、色々な動物がこの懸濁物を食べて生活しており、いわば栄養のあるスープの中に暮らしていると言えるでしょう。
また、海底に堆積した有機物や微生物を食べる沈殿物食の生きものも多くいます。二枚貝ではサクラガイなどニッコウガイの仲間、巻貝ではキサゴの仲間やマガキガイ(表紙写真)などのスイショウガイの仲間などが沈殿物を食べています。
懸濁物を食べる二枚貝
二枚貝の大部分は海水を鰓(えら)で濾過して懸濁物を集め、その中の有機物を餌にしています。1個体の二枚貝が一年間に海水を濾過する量は、アサリでは4トン以上、ムラサキイガイでは約7.3トンと推定されています。海水から多量の懸濁物を取り除く二枚貝は、海水の浄化にきわめて重要な役割を果たしています。
アサリによる海水浄化実験
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実験開始 |
1時間後 |
2時間後 |
3時間後 |
植物プランクトンをたくさん含んだ緑色の海水を水槽に入れ、右側の水槽にだけアサリを入れます。アサリが海水を濾過するので、右の水槽はしだいに透明になっていきます。 |
粘液にからめて食べる
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オオヘビガイなどのムカデガイのなかまは、巻貝類としては珍しく殻を岩の表面に固着させていて、餌を取るために動き回ることが出来ません。このため、足から分泌した粘液の糸を周囲に流しておき、その糸にくっついた有機物やプランクトンを糸ごとからめ取って食べています。 |
粘液の糸を出すオオヘビガイ |
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