2021/08/07(土)
ミカドジガバチ
君津の山中にて。大きな黒っぽいハチが、さらに大きなイモムシを抱えて歩いている(写真1)。一緒にいた先輩職員がミカドジガバチと教えてくれた。

- 写真1
イモムシを抱えているように見えたが、よく見るとあごでくわえている(写真2)。

- 写真2
ミカドジガバチについては、過去の教室博日記でも紹介されている(教室博日記No.858)。イモムシに麻酔をかけて巣穴に運び、幼虫の餌にするらしい。それなら確かに大きいイモムシのほうが良いのだろうが、空を自由に飛べるハチにとっては、自分より大きな荷物を徒歩で運ぶのは相当大変な作業に違いない。
この状態でそんなに遠くに行けるとも思えない。きっと近くに巣があるはず、と思って追いかけてみた。すると、イモムシをくわえたまま枯れ木を登り始めた(写真3)。

- 写真3
なんとなく、巣は地面にあるような気がしていたので驚いた。あっという間に私の目線より高いところまで登っていった(写真4)。

- 写真4
イモムシをくわえたまま枯れ木に開いた巣穴に入ろうとした瞬間、イモムシを落としてしまった。巣穴が小さかったのか、うまく運び込めなかったようだ。枯れ木の下はシダの藪。探し出せるのだろうか。
しばらく待っていると、シダの葉の上に先ほど落としたイモムシをくわえた状態で登場した。どうやってイモムシを見つけたのか全くわからない。そしてまた枯れ木を登り始めた。今度は巣穴に運び込めるのだろうか。
巣穴の前に到着すると、素早く方向転換し、イモムシをくわえ直した(写真5)。ハチとイモムシが向き合う形だ。そのままハチはお尻から巣穴に入り、イモムシを引きずり込むようにして見事巣穴に運び込んだ(写真6~9)。失敗から学んで運び込み方法を変えるとは、ミカドジガバチの頭の良さに舌を巻いた。

- 写真5

- 写真6

- 写真7

- 写真8

- 写真9
- ミカドジガバチ Hoplammophila aemulans(アナバチ科)
(西内李佳)