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総発掘ものがたり━各展示コーナー解説書━

平安時代の文字
━ 一夜山
(いちややま)遺跡群C地区 ━


<(財)香取郡市文化財センター作成資料による>
所在地


佐原市多田字向台(むかいだい)ほか
遺跡の概要
 遺跡は、香取神宮の南東1.7kmの台地上にあります。
 この台地は、東を除く三方を利根川に注ぐ小河川によって開析された谷に囲まれ、台地上の標高は約40mです。
 調査はゴルフ場建設に伴い、平成元年度に実施しました。
 一夜山遺跡群は、A地区〜D地区に分かれていますが、そのうち、本調査を行ったのはB・C・D地区です。
 C地区は遺跡群の西寄りにあり、調査の結果、奈良・平安時代の竪穴住居跡90軒、掘立柱建物跡13棟、土坑4基をはじめ、多数の遺構が検出されました。 そのうち、平安時代の竪穴住居跡からは300点以上の墨書土器が出土しています。
展示資料
 墨書土器とは、墨で文字や絵などが書かれた土器のことです。

本遺跡で出土した墨書土器には、
寺や僧名〔赤穂寺(あこうでら)・真勝(しんしょう)〕、
集団名〔火神部(ひのかみべ)〕、
人名〔□部富成女(べとみなりのむすめ)・里刀自女(さととじめ)・廣万呂(ひろまろ)・酒万呂(さけまろ)・麿(まろ)・息人・息万・息麻〕、
吉祥句〔千万・財・財田・万福・福〕、
その他〔土・酒・薬・井・賢〕などがあります。

 寺や僧名については.周辺の多田日向遺跡や多田寺台遺跡からも、寺〔多理草寺・三綱寺(さんごうじ)・小山田寺(おやまだでら)・火神都寺〕や僧名〔芳仙(ほうせん)・宝成(ほうせい)〕を記した墨書土器が出土しています。

 このことから、それぞれの遺跡内に寺が存在していたことが想定でき、仏教が広く民衆の間に浸透していたことがわかります。


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