準備作業のようす 〈展示準備〉 その1

 化石のクリーニング 
 採集してきた化石標本を,余分な岩石や泥を取り除いてきれいに整形する作業を「化石のクリーニング」といいます.化石の研究にとって非常に重要な作業です.
 博物館などで見る化石は,とても見事なものが多いですが,その「美しい」姿になるまでには,このクリーニングに非常に長い時間と労力が費やされています.恐竜などの大型の動物化石になると,数年がかりの長丁場になることも.化石は壊れ易く,またとても硬い岩石に入っていることが多いため,化石のクリーニングはとても慎重さと忍耐のいる作業です.
 というわけで今回の展示の準備で行なわれた化石のクリーニングのようすをのぞいてみました.


  画像その1

地学標本製作室を訪ねました.
お世辞にもキレイとは言いがたい部屋の片すみで,それは行なわれていました.


  画像その2

今日は,広島で採集してきた大きなカキの化石をクリーニングしていました.
流石はカキの名産地!?
こんな大きなカキ,生きていたら食べてみたかったです.


 画像その3

ヘッドルーペでのぞきながら,小さな金づちと,タガネという釘の親分みたいな道具を使って,余分な岩をコツコツ取り除いていきます.


 画像その4

こちらはエアチゼルという道具.コンプレッサーで圧縮した空気を利用して針を細かく振動させ,化石のまわりの岩石を少しずつ飛ばしていきます.タガネよりも細かい作業に適し,さらに細かさによって2種類の太さを使い分けています.


 
画像その5

クリーニングをしていたのは,博物館友の会のボランティア,萩原さんでした.好きな分野は「地学・化石」.根気の要るこの作業は,好きでなければ続きません.
講座・観察会などのイベントも含め,博物館では,様々なシーンでボランティアの方々が活躍しています.
(残念ながらこちらの化石は今回の展示には間に合いませんでした)


 画像その6

こちらは,クリーニングする前の野外で採集してきたままの岩石です.こちらは種子島の採集.カキのほか,センニンガイの化石の一部が見えています(指の先).
非常に緻密で硬く,持ってみるとすごく重たい石です.こりゃクリーニングが大変だ!

 画像その7,8
こちらはクリーニングが終わった「作品」.左がビカリア,右がセンニンガイです(どちらも種子島産)


こちらは加藤研究員の作品.トゲがあるので苦労しました.(でもよく見るとトゲの先が飛んでしまったところも・・・)
 
(大きさ:約7cm)
こちらはアルバイトの川井さんの作品.なかなかの腕前です.
(大きさ:約8cm)

 画像その9


上の標本は2点とも展示されています.

化石の展示を見る際には,ぜひ,かくれた「クリーニングの苦労」にも思いをめぐらせていただけると幸いです.

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