20年前に録音調査した場所は今、聞こえる音がすっかり変わりました。
環境が変わりマイクの置き場所すらわかりません。博物館に収蔵される音声資料から、
変わる前の自然や環境を聞くだけです。
もし音から過去を知り、今と比べ、未来にどのような音が望ましいかを
考えられたらいいですね。
問題は他の人と音環境のイメージをいかに共有するかです。
平成25年度企画展では、音環境の今を記録し地図上で地域の
多様な音を聞ける「地域の音が出る地図ウェブサイト」と、
遺したい過去や未来に伝えたい音環境のイメージを表現できる「全球パノラマ音空間像アプリ」を使って
音で皆さまの大切な場所を未来に伝える予定です。
平成25年度、千葉県立中央博物館において「音の風景ーうつりゆく自然と環境を未来に伝える」
という企画展が開催されます。
この展示の一角に、千葉県などの音風景を、
地域の方々が集めて未来に伝えていくという「音の風景展示室」が作られます。
これは地域の方々に、音環境調査員として参加していただき、平成24年の9月から一年間の調査期間を設けて
共に大切な場所の音風景を作り上げていくという、参加型のプロジェクトです。
説明会ではまず、企画展担当の生態学・環境研究科科長の大庭照代主席研究員が、今回の企画「あなたの大切な場所の音を未来に伝えよう」の元となった「地域の音が出る地図」と「全球パノラマ画像」に関して紹介しました。
「地域の音が出る地図」と「全球パノラマ画像」の概略に関しては、利用ガイドのトップページをご覧ください。
そして次に、平成15年度から導入してきた生物音声識別装置「ききみみずきん」の説明とデモンストレーションを行いました。
またこの「ききみみずきん」がiPhoneのアプリとして使用できるようになったことで、
iPhoneの「ききみみずきん」でとった音をTwitterでツイートできるようになり、その音をインターネット上で共有できるようになりました。
さらに、Twitterでは、メッセージや、日付、場所も入れることができるので、地域の音として簡単に記録することができます。
それだけでなく「地域の音が出る地図」のウェブサイトにつなげば、博物館に来館することなく、一人一人が家で編集作業まで出来るようになりました。
これらのことから、今回の企画「あなたの大切な場所の音を未来に伝えよう」も、みなさんが自宅で空いている時間に編集作業を行えるので、各自のペースで気軽に参加していただくことができます。
そして平成25年度の「音の風景」の企画展では、「あなたの大切な場所の音を未来に伝えよう」に参加された方それぞれの「大切な場所」の音環境の今を展示して、企画展に来場された方々にも共有していただきます。
さらにその作品の一部は全球パノラマ画像として展示します。
「あなたの大切な場所の音を未来に伝えよう」の概略
この企画に参加することにより、私の大切な場所の「音が出る地図」を作ることができるので、皆、それぞれの中にある「大切な場所の音の風景」を聞き合って、分かち合うことができます。
音は、鳥の鳴き声以外にもお祭りの音や風鈴の音など、地域のいろんな音を記録し、どんな風に音があたりに響いていたかを再現できます。
これらの記録を残しておくことにより、時がたち、同じ場所がどう変化したかを比べることができます。
そしてこれらの音を、未来の人々に伝えることができます。
なお、「あなたの大切な場所の音を未来に伝えよう」の音の調査は平成24年9月から約一年間かけて行うので、
同じ場所で季節ごとに変わる音を記録できたり、いろいろな場所にいろいろな時に行ったりできます。
また、博物館には100年を超えるさまざまな音の資料があるので、その記録された音と比較する場合も、一年間の調査期間があれば、同じ季節に行くことが可能になる、などのメリットが説明されました。
このような企画の概要に参加者の方々は大いに興味を示され、たくさんの質問もいただきました。
Q.音を録音する機械はどうするのですか?
A.博物館にある「ききみみずきん」を貸し出します。または、ご自分のiPhoneアプリを使用されても大丈夫です。
Q.録音や編集作業は、自分がどこまでやるのですか?
A.記録した音を「地域の音が出る地図」に入力して、パノラマ映像を作るところまでできます。
Q.それらの作業のやり方を教えてもらえますか?
A.はい。くわしいことはお問い合わせください。
Q.一年かけて音を取ったのち、編集作業が終わらなかった場合は?
A.音の録音が完了していれば、編集作業は展示の最中に少しずつ組み立てることもできます。
また、「音の風景」展の展示室内に「地域の音が出る地図」の特別作業コーナーも設けるので、リアルタイムで音を編集することもできます。
Q.参加資格はあるの?
A.特に年齢制限などはございませんが、音環境調査員として最後までやりぬくことができるかたを募集いたします。
そして最後に、以前「地域の音が出る」地図のマップ製作に参加された方々の感想が紹介されました。
参加当時(2008年)の調査の時には分からなかったが、震災後、昔音をとった場所を改めて歩いてみて、その場所の音に耳を傾けていた自分がいた……
自分たちの街を改めて音から見直すようになった。
自分たち(地元の人間)にとっては当たり前の音だけど、何年か経って振り返ったときに、「地域の音が出る地図」に記録されている音を懐かしく聞くことができた。
参加してから何年も経った今では音に感心が湧いてきている。
時が経つにつれ、地域の音に参加して良かったとしみじみと思った。
以上、「あなたの大切な場所の音を未来に伝えよう」の第一回説明会の様子でした。