製鉄所で,鉄はどのようにつくられているのでしょう。
JFEスチール(株)東日本製鉄所(千葉地区)の見学用パンフレットをもとに鉄づくりのプロセスを紹介します。

原料処理
ブレンドエキスパートが,
原料を最上級の焼結鉱とコークスに焼き上げます。

鉄は,鉄鉱石と石灰石と石炭からつくられます。
ほとんどの鉄鉱石は,溶鉱炉に入れる前に,
コークスや石灰石と混ぜ,焼き固めて焼結鉱にします。
また還元材となるコークスは,
石炭をコークス炉で蒸し焼きにしてつくります。

製銑

鉄鉱石や焼結鉱は,コークスといっしょに炉の
上から入れます。炉の下からは,1,200℃の
熱風を酸素といっしょに吹き込んで,鉄鉱石を
湯のように溶かします。炉の中では,鉄鉱石の
不純物が上に浮かび,重い鉄分(銑鉄)は
下にたまります。これを取り出して,次の製鋼
工場へ送り出します。

製鉄所のシンボル・溶鉱炉で,鉄鉱石から鉄を取り出します。
溶鉱炉はすべての製品の源「銑鉄」を生み出す,製鉄所の心臓部です。

溶鉱炉に与えられた使命は,安定した品質の「銑鉄」を供給しつづけることです。溶鉱炉はその構造上,一旦操業を開始したら,その寿命をまっとうするまで止めることはできません。
10年以上も安定して稼動しつづける溶鉱炉は,まさに最先端技術の結晶です。世界の溶鉱炉の平均寿命は12年程度といわれる中,千葉地区の第6溶鉱炉は1977年の火入れから一度も休止せず,1993年に長寿世界一(当時)になりました。そして,1997年6月 連続稼動20年を記録。1998年には,さらに20年以上操業させることをめざして,改修工事を実施しました。
改修工事は,JFEスチール(株)が開発した「大ブロックリング工法」を用い,従来の同規模高炉の改修期間(120日程度)の約半分の62日間という短期間で終えました。これは世界記録と言えるものです。


 
第6溶鉱炉

GO-STOPシステムが,人に代わって溶鉱炉を見張ります。
溶鉱炉の中で鉄鉱石が溶けている状態を,外から見ることはできません。
そこで,JFEスチール(株)では世界の製鉄会社が瞠目した安定操業システム
「GO-STOPシステム」を開発しました。
第6溶鉱炉の内容積は5,153立方メートル。
膨大な数のセンサーが炉内を監視し,データを集め,人工知能が炉内の状況を判断し
アクションガイダンスを与えてくれます。